今年の夏は妖怪が熱い!京極夏彦のベストセラー妖怪小説が原作の『姑獲鳥の夏』(渋谷東急・全国松竹・東急系にて公開中)が蒸し暑い夏に妖怪の恐ろしさと人間の深い業をじっとりと濃厚に描く大人向けの妖怪ミステリー映画だとすれば、一方こちらは個性豊かな妖怪たちが何万体も登場し、ハチャメチャなパワーで笑わせ泣かせてくれる一流のエンターテインメント活劇。
 阿部サダヲの河童の川太郎、竹中直人の油すまし、忌野清志郎の妖怪大統領ぬらりひょん、ナインティナインの岡村隆史の小豆洗いなど、豪華キャストが扮するそれぞれの妖怪っぷりも観ているだけで楽しめる。また、水木しげる、京極夏彦、荒俣宏、宮部みゆきら妖怪学者たちによるプロデュースチーム「怪」ががっちり監修しているだけあって、そのお祭りぶりは半端じゃない!公開初日の8月6日の初回上映後には監督・キャスト・原作者による舞台挨拶が行われた。

 夏祭りの夜、正義のヒーロー“麒麟送子”に選ばれ、最強の敵である魔人・加藤保憲と戦うこととなる主人公・タダシを演じたのは、ご存知!当世きっての天才子役・神木隆之介くん。相棒であり劇中最高の萌えキャラでもある妖怪・すねこすりを抱いて登場。
「こんなこというのもアレなんですけど、皆さん気に入ったら何十回も観に来てくださいね!」とはにかみながらもしっかりアピール。「(妖怪について)もう家族みたいな感じです。仲良くしていきたいです。」と天使のほほえみで語る。
 妖怪・川姫役を可憐でセクシーに演じた高橋真唯は、「すごく素直なテーマをまっすぐに伝えようとしている映画なんですが、観れば観るほど発見があるんです。」と語り、自身が妖怪を演じたことで「もう暗闇でなにか音がしても怖くないですね。」と笑った。
 88年に『帝都物語』で嶋田久作が演じ一世を風靡した「魔人・加藤保憲」をクールに演じた豊川悦司は「最近僕も自分がどんどん妖怪化しているような気がしてて、そんな時に妖怪の役が来たのでびっくりしました。早く人間に戻りたいです(笑)」とおちゃめなコメントで会場を笑わせた。
 加藤を愛してしまい妖怪の仲間を裏切ってしまう鳥刺しアギ役の栗山千明は「映画を観て、アギむかつく!アギいやな奴!と思ってもらえたら嬉しいです(笑)。」と憎まれ役を楽しんで演じた様子をうかがわせた。
 原作者であり山ン本五郎佐衛門役で京極夏彦、水木しげると共に妖怪デビューを嬉々として演じた荒俣宏は、「(大入り満員の客席を見て)まるで120万体の妖怪のモブシーンのような眺めですね。元々妖怪とは人間のことですから、映画も妖怪を観ているつもりでも自分たちを観ていると思ってください。」と水木しげるばりの妖怪節(?)をみせ、「三池監督もこれでもう立派な妖怪ですよね。」とニンマリ。
 鳥取県での大がかりなロケから始まり約一年をこの映画につぎ込んできた三池監督は、「僕は妖怪って角川歴彦さん(製作総指揮)だと思いますよ。妖怪映画は昔も大映で作られていたけどなぜこの2005年に妖怪が復活したのか。それは彼にしかわからない(笑)。きっとまた35年後に復活するかもしれないので、その時までにアズキを食べて長生きしていてください。」とコメント。ラストのアズキ発言は観た人にしかわからない爆笑ポイント。菅原文太演じるタダシのおじいちゃんが発する「小豆は体(みがら)にええ」はこの映画の重要な鍵。小豆と妖怪に何の関係がと思った人は、劇場で現認すべし!
 ベネチア国際映画祭への特別招待作品として出品が決まっているというこの作品で、世界的に妖怪ブームがおこる日も近い?(ついでに小豆ブームも)
(綿野)
 
★『妖怪大戦争』は8月6日(土)より丸の内ピカデリーほか全国拡大ロードショー!

■作品紹介
『妖怪大戦争 』