「心中しようか」
だってそれが“想い”を昇華させる唯一の方法なのだから。
片道2時間の遠距離通勤。弁護士事務所に勤める万代(眞島秀和)はずっと女(小山田サユリ)を見ていた。だが女はそんな男の視線に気づくことはなかった。
やがて男は自ら運命の糸を手繰り寄せる。そして急速に接近した男と女は逢瀬を重ね、お互いを似た者同士だと認め合う。
しかしふたりにはそれぞれに家庭があった…。
東京都下の田舎町。のどかで美しいが、どこか寂しげな田園風景を舞台に繰り広げられる2組の若き夫婦の可笑しくも悲しい究極の愛の物語。

7月30日、渋谷シネ・ラセットにて『心中エレジー』の初日舞台挨拶が行われた。上映を終えたばかりの、満席の会場の中、亀井亨監督をはじめ、眞島秀和、小山田サユリ、中村優子らが登場。

弁護士の万代を演じた眞島秀和は「万代は、一見エリートだが、理想が何かというのが見えていない男。理想と現実がつかめていないというのは僕も理解できました」

万代の誘いを、深く考えずに応じる溝口京子を演じた小山田サユリは「私自身京子と同じ年代で、悩みとかストレスという部分は共感できました。作品では“膿”という言葉がよく出てきますが、生活していく上でストレスが溜まって“膿”のようになってゆくというのは、皆が感じることだと思います」

万代の妻・田中麻美を演じた中村優子は、「麻美は、自分の守りたいものが崩れはじめると、嫌がらせなど(笑)、何をしてでも守ろうとする女性です」

田中麻美(中村優子)が溝口京子(小山田サユリ)をひっぱたくシーンについて、中村は「何度も素振りをして練習してました。でも、実際は殴ってないですよ!(笑)女性が叩くので、“ペチ”という音が入るのかと思ったのですが、出来上がりを観てみたら凄い音が入ってて、ちょっと嫌だなあと思いました(笑)」

監督「“パチン”という音は嫌なので、骨を砕くような音にしてもらいました(笑)」

また、監督は、本作が今年6月に行われたアメリカシネマパラダイス映画祭にて最優秀作品賞を受賞したことを報告。観客は暖かい拍手で受賞を祝福した。

海外での観客の反応について「笑いが多くてびっくりしました。宗教上、不倫が許されないということもあり、麻美が京子を殴るシーンでは、歓声が上がっていました(笑)」と日本と海外での観客の反応の違いを新鮮に感じたと語った。
(T.S)

☆2005年7月30日(土)より、渋谷シネ・ラセットにて夏休みロードショー

□作品紹介
『心中エレジー 』