タレント・構成作家・俳優・脚本家など、様々な分野で活躍してきたダンカンの初監督作品『七人の弔』が、今夏全国でロードショー公開される事となり、公開に先駆けプレミア試写会がTOKYO-FMホールにて開催された。
この物語は、一見明るいサスペンス風な展開のベースだが、今日本が抱える児童虐待という問題を真正面からリアルに描いた話題作である。
会場は本作に合わせ親子連れが多く、著名人の姿も。満席に埋まった会場が急に暗転すると、きれいだけどどこか切ないメロディが。「いま、会いにゆきます」で初めて映画音楽を手掛け、これが映画音楽2作目という松谷卓さんである。生演奏を息をのみ聴き入る観客たち。演奏が終わると割れんばかりの大拍手がずっと続いていた。
「僕は映像を観て、その印象で曲を作りました。音にした時にこの物語がどう見えるかを1番意識しながらやったので、それがどのように捉えてもらえるかはすごく緊張しました。最初にダンカンさんに“僕は音楽知らないからよろしくね!”と言われた時は、これはヤバイぞ…と思いましたが試されている感じがして頑張ろうって気になりました。」と松谷さん。

続いて本作の監督&キャストが登壇。登壇者はダンカン監督、高橋ひとみさん、いしのようこさん、中村友也さん、川原真琴さん、柳生みゆさんの総勢6名。
ダンカン監督は「台風が来てる中、こんなにも沢山来てくれてありがとう!そしてきれいな所でやらせてもらい感謝します。この会場は全面アスベストで作られてるので皆さんいっぱい吸って行って下さい(笑)。」と相変わらずのダンカン節も炸裂。
「1人でも多くの人に観て貰えるのは嬉しいけど、1番嬉しいのはやっぱり北野武監督に観て貰い、“お前才能ないなぁ!”と言ってもらえる事ですね。“映画を撮る事になりましたが、不安なんです。どうしたらよいでしょう?”、と北野監督に言いに行った時、“助監督、カメラマン、照明、録音みんないるんだから、映画なんてお前いなくても撮れるんだよ!”と言われて逆に“よし、がんばろう!”と思えましたね。子役たちは、悪い大人とそうではない大人を見分ける力があるんですかね?僕の所には全然寄ってきませんでしたねぇ。だからこそ、逆に僕も演出とかが冷静に出来た気もします。」と冗談交じりに語る。

みんなのまとめ役だったという子役の中村友也さんは「映画は初出演でしたが、いつもこんな感じなので特に緊張はしませんでした。僕の父親役、渡辺いっけいさんとのシーン、最後のダンカンさんとの対峙するシーンは心に残っています。とても盛り上がるシーンだったので。初仕事で良い役もらえたので本当にがんばろう!という気持ちでやりました。」と堂々と挨拶をした。
高橋ひとみさん(君代)の娘役を演じた川原真琴さんは「川に入るシーンでは衣装やメイクの事もあるので、1回勝負でとても緊張して、石の上で何回も練習しました。私も本作が映画初出演だったのですごく緊張しました。」、同じく子役の柳生みゆさんは「最初オーディションでダンカン監督に会った時すごく怖くて心配だったけど、実際撮影に入ったら優しく指導してくれたので良かったです。」とはにかみながら語る。ダンカン監督はオーディション時、“あ、この子が欲しいんだ!”と彼女を1秒で即決したという。

「最初ダンカン監督を見た時はTVで見るよりちょっと怖い感じだなぁ、と思ったんですけど、そんな事はなくてとてもシャイで、演出してくれる時も下向いて指導してたり(笑)。とても自由にやらせて頂きました。絵コンテも分かりやすくて楽しい現場でした。」と高橋ひとみさん。いしのようこさんも「ダンカン監督は現場でなかなか目を合わせてくれませんでしたね(笑)本当にボソボソとお話をされて現場ではとても静かな方でした。」とそれぞれダンカン監督の印象を語ると、「高橋さんは僕の事をシャイって言いますが、高橋さんもかなりシャイですよ。だから2人で打ち合わせしてると2人共下向いて引きこもりみたいになっちゃって!(笑)高橋さんはとてもかわいくて、素で失敗しても“あ、それいただきっ!”って使わせてもらう事もありましたね。いしのさんはあの後空き巣に入られてしまってね…。あの犯人は温水洋一ですよ!間違いなく。だって家の場所聞かれてましたもんね!」と会場の笑いを誘う。

そんな和やかな雰囲気で行われていた舞台挨拶だが突如として不運な空気に…
会場は真っ暗になり、雷鳴と共にスペシャルゲスト黒澤明監督の長女・和子さんが登場!
前作『生きない』(脚本)に続き、今回黒澤監督の名作『七人の侍』のパロディタイトル第2弾という事で怒りも爆発!?ダンカン監督も土下座して平謝りをする中、「本当は辛口コメント言わなきゃいけないんだろうけど、父がいつも“若い監督にはエールを贈って褒めて育てろ!”と言っていたのでこの先もずっと続けていってもらえたらと。」とダンカン監督に花束が贈呈されると「本当!?でも僕まだ黒澤作品その2本しか観てないんです。これから勉強します!」と興奮気味に意気込みを語った。

その後、今までの楽しい雰囲気を一転させダンカン監督が口を開く。「これは真面目に作った作品です。こういう出来事が起こり得る世の中になってしまいました。もし、親御さんの中で本作の親のような事を考えてしまった経験がある人は危険。黄色信号です。もう1度本作を見て親と子の関係について見つめ直して頂けたら嬉しいです。」

この夏1番の問題作『七人の弔』は悪趣味なフィクションなどではなく、きちんと私たちが向き合わなくてはいけないノンフィクションをベースとして誕生した作品なのである。

(菅野奈緒美)

※2005年8月13日、『夏休み』テアトル新宿にて、以降全国順次ロードショー
◇作品紹介
『七人の弔 』