巨匠・実相寺昭雄監督のもと最高のキャストによって映画化された、人気作家・京極夏彦のデビュー作『姑獲鳥の夏』が7月16日新宿ミラノ座にて公開初日を迎えた。前日から多くのファンが劇場前に列をつくり、東洋一の大劇場であるミラノ座の会場が立ち見の大入り満員という最高の盛り上がりを見せる中、原作者の京極夏彦、実相寺昭雄監督をはじめキャストが一同に介し舞台挨拶を行った。
 
 原作ファンも熱狂するほどの支持を得た映画版だが、当の実相寺監督はいたってマイペース。「撮影中はなるべく夕飯前に撮影を終えようということばかり考えていました。」とか「日中から晩御飯のことばかり考えていました。」と飄々と答え観客を煙にまいた。
主演の京極堂役の堤真一も原作ファンがとにかく心配していた例の長台詞がどのシーンにも頻出していたにもかかわらず、「とにかく撮影は楽しかった。」とあっけらかんとこたえる。「実相寺監督の場合は「カット!OK!」というのではなく「カット!飯!」ってゆうくらい(笑)。テンポよく撮影は進んでいきました。」
 作品の重厚で複雑な内容とは正反対の現場の雰囲気に驚いたと語ったのは田中麗奈といしだあゆみだ。
「堤さんのセリフも大変ですしシリアスな演技が多いので、さぞピリピリした現場かと緊張して入っていったら、全然そんなことはなくたくさん話しかけてくださって、和気あいあいでリラックスした雰囲気で撮影していたのでホッとしました。この作品には憧れの方々がたくさん出演されていたので私はすごく幸せでした。」(田中)
「私も気負って現場に入ったんですが、堤さんも永瀬さんも全然そんな雰囲気じゃないのでびっくりしました。スタッフも超一流の職人さんのような方々ばかりですべてが完璧!パーフェクト!それにも感心いたしました。」(いしだ)
 気弱な小説家・関口巽役の永瀬正敏は「みなさん大変そうでした。私は堤さんがしゃべっているところで「えっ」とか「うっ」っとか言っているだけです(笑)。すごく緊張していたので演技は素かもしれません。監督は役者を完璧に信頼してくれていました。」
 エキセントリックな私立探偵探偵・榎木津役の阿部寛は「苦労はほとんどしてないです。強いていえば、宮迫さんと撮影当時「アットホームダッド」というドラマでも共演していたので演じ分けなきゃいけなかったことくらいです。榎木津はテンションが高い役なのですが、ほとんど一回でOKだったのでよかったです。」
 ストーリーの鍵となる久遠寺梗子、涼子の姉妹を一人二役で演じた原田知世は「20ヶ月のおなかがどのくらいになるのか、みんなで相談しながら作っていきました。一人二役が入れ替わったりする複雑な役なのでこれまで雑誌のインタビューでもストーリーに関わってくることなので話せないことばかりだったので今日からはこの役についてお話できるようになると思うとうれしいです(笑)。」
一流の監督、スタッフ、そして最高のキャスティングによるプロの仕事ということを強く感じさせる出来上がりのこの作品。原作者の京極夏彦は、「この映画を面白いと思ってくれたのなら、それは監督やスタッフ、役者の努力の賜物です。ただしストーリーや筋がわかりづらいと思う方がいらっしゃったら、それは私の責任です。どうぞ原作の本を買って読んでみてください(笑)。12年前に書いた本ですがまさかこんな素晴らしい方々に映画にしていただけるとは思ってもみませんでした。世の中には少しは不思議なこともあるんだな、と思いました。」と京極堂の名文句「世の中には不思議なことは何一つないのだよ」になぞらえてのおちゃめなコメントでした。
(kaori WATANO)

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■作品紹介
『姑獲鳥の夏 』