小学生の時に龍が棲むとのいい伝えが残る湖で水難事故に逢い、当時の記憶を失った輝美。失われた記憶を辿ろうとする輝美は、やがて湖が秘めた恐るべき秘密に直面させられる。役者・監督・脚本家と多方面で活躍中の堀江慶が、監督・脚本を担当したミステリアスなサスペンス『誰が心にも龍は眠る』。7月9日の上映時には、謎に翻弄されるヒロイン輝美役で初主演し、新生面を見せてくれた麻宮美果と、看護士役で友情出演している大多月乃によるスペシャル・トーク・ショーが開催された。大多と麻宮は同じ事務所に所属し、二人にとってのデビュー作『星砂の島、私の島 〜アイランド・ドリーミン〜』、公開待機中の『Life on the Longboard』等、本作を含め4作品で共演しているよき先輩・後輩同志。当日の都内は、夕方から激しい雨が降る生憎の空模様であったにも関わらず劇場には多くの観客が来場し、二人のアットホームで息のあったトークを思う存分堪能した。

大多月乃——今回は友情出演ということでちょっとしか出てなかったですけど、皆さんすごく頑張っていて現場の雰囲気もよくて、参加できたことだけでも嬉しかったです。美果ちゃんとは、撮影の時には一度も会わなかったんですが、出来上がった作品を見てこれまでと全く違うなと感じました。『星砂〜』では島人という役がすごくあっていたんですけど、もしかしたらこっちが美果ちゃんの本質に近いのかしらって思えるくらい。主演と言うのは大変だけど嬉しいことでもあって、プレッシャーや責任感に追われたと思うんですけど、どうでしたか?

 今回の現場を振り返りつつ、先輩として麻宮の演技を評し、感想を尋ねる大多の問い掛けに、麻宮は晴れやかな表情で答える。

麻宮美果——私にとっては大きな作品。今は自信を持っている作品なんですが、撮影に入る前は緊張とプレッシャーがすごくて。今までの作品では南の島の女の子の役柄が多かったんですが、今回は記憶喪失。こういうジャンルの映画で演じることができるのかと、不安の中での撮影開始だったんです。
 これまではツッキー…大多さんが主演の作品に出させてもらう感じで、私は楽しんで演技させてもらってましたが、今回初主演をつとめてこんなに大変だったんだと実感しました。ただ自分が演じるだけではなく監督、スタッフさん、共演者の皆さんの力があって、そして私がいるということをすごく感じたんです。主演をつとめることは、座長だな。その作品の中で座長でなくちゃいけないことを感じて、これからの自分の引き出しとして勉強になったと思います。

 この他、輝美の幼馴染幸雄役を演じ、本作の主題歌も担当している中田裕二(椿屋四重奏)との共演の感想や、作品の秘めた恐怖についてなどが語られた後、雨の日に来場した観客への感謝をこめて、来場者全員に二人のサイン入りポストカードが手渡され、さらに勝者には作品に因んで“龍”の入ったサイン入り手ぬぐいをプレゼントするジャンケン大会も開催。大盛況の中で、トークショーは幕を閉じたのだった。

 またトークショーを終えた麻宮に、作品の公開も佳境に入った現在の心境と、今後の予定を語ってもらったので、最後にそのコメントをお届けしよう。

麻宮美果——初めは正直自分の演技のチェックとかに入ってしまって、ゆっくりと見れなかったんですけど、舞台挨拶以外でも自分で劇場に足を運び、何度も見ているんですよ。そして第三者として映画を見た時に、自分が演じていることを忘れるくらい面白い映画だなというのと、それが自分だというのが不思議というのと両方です。2週間前とは全然違って、客観的に見てますね。
 9月10日に公開される『Life on the Longboard』は『誰が龍』よりも先に撮影した作品です。『Life〜』で一つ勉強した後の私なので、正直演技としては『誰が龍』の方がすごく感情が出てるのかもしれません。でも『Life〜』は私の得意分野である南の島の作品で、あの時の私だから演じられたよさや輝きが詰まっていますので、是非そのあたりを観ていただければと思っています。
 また8月には初めての写真集を出します。単なる写真集ではなく、私がデビューからお世話になっている喜多一郎監督と麻宮美果という女優のコラボレーション写真集です。色々な視線が詰まった、ちょっと変わった写真集なので是非それも見て欲しいです。

 なお、『誰が心にも龍は眠る』は7月15日までポレポレ東中野にてイブニング&レイトロードショー公開中!7月14日の18時の回及び20時の回には、麻宮美果と中田裕二(椿屋四重奏)のトークショーが、また15日20時からの最終上映時には当日劇場に来た方限定のサプライズ企画が予定されている。
(殿井君人)

□作品紹介
誰が心にも龍は眠る
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誰が心にも龍は眠る