2004年度東京国際映画祭一日本映画・ある視点部門一作品賞・特別賞受賞
生命が青々と生い茂る富十山麓・青木ヶ原樹海。
自殺の名所と名高いその場所で織り成される「生きる」ための物語。

本日、渋谷シネ・アミューズにて『樹の海』の初日舞台挨拶が行われ、超満員の場内へ早速ゲストたちが登壇。
登壇したのは、樹海に捨てられ、奇跡的にも生還する男朝倉役・萩原聖人さん、一流企業に勤める山田役・津田寛治さん、興信所の探偵・三枝役・塩見三省さん、そして本作が初監督作となる瀧本智行監督の4名。
先ほど鑑賞を終えたばかりの観客の熱気が更にヒートアップ!大拍手で4名を迎えた。

監督は「今日は本当にありがとう。えっと色々考えてたのに忘れてしまいました…」とかなり緊張している様子でそれを見た萩原さんが助け船を出す。「監督〜本当に忘れちゃったんですね!(笑)。今日は沢山の映画が公開される中、『樹の海』を見に来て頂きありがとうございます!瀧本監督のデビュー作と言う事と、地味だけどとても大切なものが詰まった映画に参加出来た事に感謝します。」続いて津田さん、「今日はこんなに沢山の人たちが来てくれてるなんて思ってなかったので本当に嬉しいです(場内爆笑)。萩原さんが言ったように、こんな地味な映画なもので…(笑)。こんなに晴れた良い天気の日にあんまり自殺の事なんて考えたくないんじゃないのかな?と思ったりもしたのですが、今沢山の楽しい映画が目まぐるしく公開されてますよね。そういったハリウッド的映画が大量に出てくる中で、すごく地味だけど集客とかもあまり考えないストーリーと言うんですかね?(笑)。もちろん少しは考えますけど!ストーリー的には金儲けよりもそういうのを伝えたいと!そういった映画に参加出来て嬉しく思います。そして初日を迎えた今日、こんなにも沢山のお客さんの前に立っているという事がとても嬉しいです。ありがとうございます!」と会場全体を笑いの渦にさせた。
そして塩見さん「ここから皆さんの温かい眼差しを浴びて、とても嬉しいです。渋谷から歩いて来る時に、一人一人が着飾っていて…まぁ、着飾る事も大事ですが何かもう1つ自分の中で、騒がしい世の中で自分を見つめ直して静かに、そして力強く再生していく…そんな映画だと思います。そういうつもりでやりました。ありがとうございます。」と語った。

そして最後は、先ほど緊張と感激のあまりコメントを伝えられなかった監督に再びマイクが渡ると、「すみませんでした。津田さんのおかげで平静さを少し取り戻しました(笑)。本作は二年前の五月、プロデューサーの青島さんとまだストーリーも何も決まってない時に樹海をとにかく一回歩いてみよう!という所から始まりました。そこで二人で思った事をシナリオに興して、萩原さんから出演OKの返事も頂き、そこから色々な事が動き出したのです。そして完成したのは去年の7月。ちょうど一年前ですね。だから今日という日を迎える事が出来て、感無量です。先ほどは今までの事が走馬灯の様に駆け巡り、思わずうるうるしてしまいました(笑)。ようやく皆さんに観て頂ける事によって本作が生まれたのだ、と実感して…。本当に皆さんに感謝致します!」と皆が温かく見守る中、想いを語った。

確かに派手で楽しい映画ではないが、今現代人が忘れかけている「生きる」という大切さを改めて真っ向から見つめ直す事が出来る完成度の高い作品と言えるだろう。

(菅野奈緒美)

※2005年6月25日(土)より渋谷シネ・アミューズ他、全国順次ロードショー
◇作品紹介
『樹の海 』