木原浩勝と中山市朗が全国から集めた怪談話をまとめた「新耳袋」。BS-iで怪談ショートフィルムとして映像化され好評を博したこのシリーズ。昨年には7人の監督が競作したオムニバス『怪談新耳袋 劇場版』が公開され、渋谷シネ・ラ・セットの動員記録を塗り替えるほどの大ヒットを記録した。
 今回、その「新耳袋」シリーズから劇場版の第二弾として『幽霊マンション』が公開となる。完成披露試写会が行われた6月20日には、主演の黒川芽以、吹越満、吉田秋生監督、原作の木原浩勝・中山市朗が舞台挨拶をおこなった。

 母親を事故で亡くし、父親となんとか心機一転して新しい生活をはじめようとする主人公が引っ越してきたマンションだが、大家の娘の霊にとりつかれており、住民は深夜0時までに帰らないと呪い殺されてしまうという因縁をもった場所だった。幽霊マンションに越してしまったことが原因でおちぶれてしまった各家庭をめぐるエピソードも面白いが(特に根岸季依と曽根英樹のやさぐれカップルの熱い&やりすぎなエピソードには笑って泣けちゃいます)、雪だるま式に増えていく不幸の連鎖にけなげに耐える主人公の少女を演じた黒川芽以の陰のある存在感はなかなか。

 劇中の制服姿で登場した黒川は「最初台本を読んだときは、すごく怖い話になるかなって思いましたが、だんだん演じていくにしたがって切ない悲しい話になりそうだなと思いました。」と語る。今回担当するはエンディングテーマソング「シアワセがふえるより哀しみをへらしたい」では作詞にも挑戦するなどこの作品に対してかなり意欲的。
 また、彼女とともに幽霊マンションに越してくることとなるアル中の父親を演じた吹越満は「この父親はあんまりいい役じゃなかった…」などと自分の役に不満をもらす一方、「今日はじめてこの作品をみたけれど恐怖映画としての面白さがきちんと出せていたと思います。」と作品の仕上がりには太鼓判をおした。監督の吉田秋生も「少女のかなしみや切なさをきちんと出したかった」とコメント。黒川演じる主人公の少女と前田綾花演じるマンションに宿る少女の霊が出会うシーンが印象的だ。「新耳袋」が放つ恐ろしくも悲しいドラマに要注目!
(綿野)

★『怪談新耳袋 劇場版 幽霊マンション』は8月15日(月)〜21日、六本木俳優座劇場にてロードショー!
 その後、8月20日(土)より渋谷シネ・ラ・セット、シネカノン有楽町にてロードショー!

■作品紹介
『怪談新耳袋 劇場版 幽霊マンション 』