6月11日新宿にて、『帰郷』の初日舞台挨拶が行われた。今作品で主演をつとめるのは北野武監督作『Dolls(ドールズ)』以来2年ぶりの主演となる人気俳優・西島秀俊、そして『ハッシュ!』で数々の主演女優賞を受賞後、病に倒れたが、無事回復し、本作が復帰作となる片岡礼子。

再婚する母親の結婚式に出席するため帰省した晴男(西島秀俊)は、かつての恋人・深雪(片岡礼子)と偶然再会する。彼女は数年前に故郷を離れたが、離婚後、小学生になる娘のチハル(守山玲愛)を連れて戻ってきていた。ひょんなことから、晴男とチハルは一日を過ごすことなり、子供とどう付き合えばいいか戸惑う晴男だったが、いつしか二人は親子のような絆で結ばれてゆく———。

舞台挨拶には、萩生田宏治監督はじめ、西島秀俊、片岡礼子、守山玲愛、光石研、利重剛らが登場。

一回目の上映を終えたばかりで、胸がいっぱいだという監督は「130席の劇場に170人もの人が来て下さったようで、とても嬉しいです。撮影現場がとても楽しくて、その雰囲気を映画で出せたらと思いました」

とても思い入れの強い作品になったという西島秀俊は「控え室で久々に皆と会って、改めてこの作品は特別だと感じました。脚本が素晴らしくて、読むだけで面白く、監督の真っ直ぐな演出が素晴らしかった。演じてみると、脚本で読んだよりも素晴らしいセリフだと感じたりと、実際に演じるのが楽しみでした」また初共演となる片岡については「soul の人だと聞いてました。人間としての説得力があって、片岡さんがいてくれるだけで、そのシーンは出来上がっていた」とべた褒め。

『HUSH!』以来2年ぶりの映画復帰作ということで、撮影前にとても緊張していたという片岡は「実際撮影ではスタッフや俳優の人達のお陰で、それほど撮影が久しぶりという感じがしませんでした。出番がない時は寂しく思えましたが、実際出来上がった作品を観て、参加させてもらった時間が長かったんだと感じました。監督、スタッフ、観客の皆さんに感謝しています」

片岡演じる深雪の娘チハル役を演じ、一緒のシーンが多かった西島のことは家族みたいに大好きになったという守山玲愛は「監督、主演の人達と楽しく撮影できました。休憩時間に寝ている西島さんの耳にガムでこちょこちょってイタズラしたら怒られて、ケンカもしました(笑)」

深雪の勤める居酒屋を営む山岡を演じた光石は、今作品は心からリラックスして撮影に臨めたという。「居酒屋でのシーンは、映画のスタッフに本物の居酒屋の店員だと間違われて、『ごみ箱お借りしてもいいですか』といわれた」というエピソードを披露。

プロデューサーそして、監督と共同脚本もつとめた利重剛は「観終わった皆さんの顔がやさしくて安心しました。幸せな現場でひどい映画ができる場合もあるけど(笑)、幸せな現場で素晴らしい映画ができて本当に良かったです。映画を観て優しくなったり、切なくなったりと、観た人の数だけ映画ができると思うので、多くの人に観て欲しいです」また、主演の西島については「監督が持ってきたモチーフを元に脚本を書くうちに、西島さんのびっくりした顔が思い浮かんできました。それは監督も一緒だったみたいで(笑)。ここ近年で一番面白い男だと思います(笑)」

最後に、監督は「心が暖まる家族の話なので、幅広い年齢の人に観て欲しいです」と締めくくった。
(T,S)

☆2005年6月11日より、新宿武蔵野館にてロードショー

□作品紹介
『帰郷 』