樋口真嗣監督×役所広司主演で今年2月に公開され大きな話題となった『ローレライ』に続き、福井晴敏原作のベストセラー『亡国のイージス』が阪本順治監督、真田広之、佐藤浩一、中井貴一というこれ以上ない位のキャスティングによって完成した。
この作品では、誰もがこの国の未来に不安を抱かずにはいられないだろう現代の日本を舞台して、実際に起こりうるかもしれないと思わせてしまう迫力に満ちている。
 未曾有の経済的発展を享受しながら、理想も持たず、国家としての責任能力も自覚せぬまま世界進出を遂げた日本。バブル崩壊が経済を袋小路へと迷い込ませたとき、そこに我々が誇るべきものは何ひとつとして残らなかった。そして、2001年9月11日以降、空虚な理想論など決して許されぬ現実を突きつけられ、我々が見つめることになった未来とはどんなものなのか?あるべき国家の理想とはどんなものだったのか?1999年、いち早くその問題を突きつけた小説があった、それが「亡国のイージス」だ。
完成披露試写会には、阪本順治監督、原作の福井晴敏、真田広之、佐藤浩一、中井貴一、勝地涼、チェ・ミンソ、豊原功輔、安藤政信、谷原章介、といった豪華スタッフキャストが勢ぞろいし、舞台挨拶を行った。

阪本順治監督 「まさに今の映画です。自分なりに娯楽って何なのかと考えたときに、色気だろうと感じました。ご覧いただいて色気を感じてもらえればうれしいです。」
福井晴敏「今年は奇しくも自分の原作が3本映画になっていて、先ほど中井貴一さんから「どれが一番気に入っている?」と聞かれたのが、ちょっと怖かったです(笑)。最近の日本映画はディズニー映画化している。ここから入って、ここで笑って、ここで泣いて、それでハイ出て行ってくださいというような。それに対してこの映画はピラミッドみたい。本物の存在感があると思います。」
真田広之「まさに現代の日本を描いた骨太なエンターテインメントです。現場でも男くさくて寺尾さんをはじめ頼もしい人たちに囲まれて充実した日々を過ごせました。また、防衛庁の協力なくしては撮れなかった絵がフィルムに収められてみなさんに見ていただけるのを嬉しく思っています。今回は、ストーリーの中では一番普通に生きてきた男なんですが、ある瞬間をきっかけに男としての本能に目覚めていく、そういった役でした。映画を楽しんでいただいた後に、ひとつお土産をもっていってもらえるような作品だと思います。」
佐藤浩一「前々から娯楽映画の定義とは、個人的な定義の上に成立するものだと思っていましたが、今回の作品は腰の位置がどんと低く、低重心な腰の据わった娯楽映画になったんじゃないかと思います。このようにキャストは男ばっかりなので、女性向きではないかな?とも思うかもしれませんが、日々男たちのお尻をがんばりなさい!とぺチンとひっぱたいている女性たちにとっては非常に共感できる部分もあるかと思います。」
中井貴一「撮影にご協力をいただいた方々に心から感謝しています。もういいたいことはキャストの皆が話してくれるので、僕からいえるのは試写会はタダなので、次は公開してからお金を払ってもう一度みてください。ということです。ここにいるキャストもそうすれば喜びます(笑)。」
チェ・ミンソ「たくさんの方々と一生懸命撮影しましたので、みなさん期待していてください(日本語でご挨拶)」
勝地涼「このような大きな作品に関われたことをとても幸せに思っています。映画の中で僕が演じた如月行はとても重要な役だったのでプレッシャーもありましたが、自分なりの如月行を出せるように一生懸命がんばりました。」
谷原章介「今回の映画は、日本と朝鮮の微妙な関係を描いていて、現在のこの状態と似ている部分もあります。映画の中で僕らが演じている自衛隊というものの立場、国防というものは何かということもテーマになっています。また男たちの生き様やもっているエネルギーが画面から伝わってくると思います。難しいことは考えずエンターテインメントとして楽しんでください。」
安藤政信「僕は阪本映画のファンでもあったので、自分が出演して今ここに居れることが嬉しいです。阪本さんの映画を好きになってみんな帰っていってくれたらいいなと思います。」
豊原功輔「ゼロ号試写で観ていますが、こうして劇場で、客席に皆さんがいて、スクリーンがあって、というのを見るとやっと完成したんだなって気がします。監督はじめスタッフの方、すばらしい俳優の先輩の方々と出会えたことは僕の財産のひとつになりました。大きな迫力があり、センシティブな内容も含んでいますがそれを飲み込んでいく素晴らしい力のある作品だと思います。」

また、今回来場できなかった寺尾聰は、ビデオメッセージで登場。
寺尾聰「何年か前に阪本監督とお会いしたときに、是非一度ご一緒したいですとお話していたのがやっと実現できた作品です。とてもいい監督で、現場でも楽しいだけじゃなく厳しい面もあって、撮影している実感を毎日もちつづけながらクランクアップまで走り抜けました。今、日本の中で周りの出来事をみるとあちこちでナショナリズムという言葉が飛び交うなかで、いつも自分はどうなのかなと思っています。国家と個人という狭間の中でどう生きているかということを考えながらやったつもりです。僕がしゃべるよりも、反対にみなさんに感想を聞いてみたいです。」

☆2005年7月30日、東京[丸の内ピカデリー1]ほか全国超拡大ロードショー!

□作品紹介
『亡国のイージス 』