「ウルグアイのカウリスマキか?」ユーモアとメランコリーたっぷりに3人の男女の転機を描き込んだウルグアイ発の今作『ウィスキー』。無口な靴下工場経営者のハコボとその工場でハコボの助手として働く真面目な従業員マルタ、変わらぬ日常を過ごしている二人のところへハコボの弟、ブラジル男の陽気なエルマンが現れたことから、3人の人生は少しづつ変化していく・・。そんな本作のタイトル「ウィスキー」は、実は映画の中でも印象的な場面に使われているのだが、日本でいうところの「はい、チーズ!」の南米版ともいうべきセリフ。お隣韓国では「キムチ!」など、それぞれの国の「なるほど!」と納得な、お国柄があらわれるこの一言、それなら日本独自のオリジナル版「チーズ!」をどどんと決めちゃいましょう、とばかりに「あなたが考える“ウィスキー”」を募集したところ、たくさんの反響があったという。そして、このたび受賞作品の発表をかねてNHKで「スペイン語講座」にも出演中の人気お笑いデュオ笑い飯が‘審査委員長’として上映後トークショーに登場した。

「オラ!」とさっそく自慢の(怪しい?)スペイン語を披露した二人。しかし哲夫さんは「どうしてカタルーニャについてそんなに詳しいの?」というスペイン語を「これしか覚えてないんですよね・・」と意味もなく連呼。続いて、会場のお客さんに抜き打ちで時間を訊ねる等、終始スペイン語を駆使して会場を沸かせていた。それでは、笑い飯によるコメント付きの受賞作発表をどうぞ。

優秀作品賞①「ハイ、ボーシ!」—–「つくつくぼーし!」
     ②「よっ、富士山!」—–「景気いいですね〜」
     ③「カキごおり!」 —–「夏場にはいいですね!」
最優秀作品賞 「ハイ、酢飯!」—–「ちなみに過去に一番良かった写真取る時の言葉は、先輩の芸人さんが言っていた言葉で、はい、ビール!っていうのですね。」「おもしろくないですねー。」

ということで、優秀作品を受賞した3名にはウルグアイワインフルボトル、そして見事最優秀作品賞に選ばれた1名には日本から一番遠い国、秘境ウルグアイへの往復チケット一組(なんと80万円相当!)がプレゼントされたのでした。

絶賛上映中の『ウィスキー』。突如届いたこのただならぬ快作は、日本から一番遠い国、南米はウルグアイから届いたというのだから、やはり世界は広いようで、そんなに遠くないのかもしれないなんて親近感もわいてくる。人と人の間の距離感とその変化を絶妙に映してみせるというところでは、日本では山下敦弘監督にも通じる心をもつフアン・パブロ・レベレージャ監督の次回作にも期待している。

(Yuko Ozawa)