2001年の「日本におけるイタリア年」から始まり、今年で5回目を迎えるイタリア映画祭。今やファンの間ではゴールデンウィークの恒例イベントとなっており、今年も選び抜かれた日本未公開の最新イタリア映画10本を一挙上映する。開催3日目となる5月1日(日)には、監督、女優、俳優たちがイタリアから駆けつけ、座談会に登場。総勢7人という、歴代の映画祭の中でも最も多く、華やかなゲストが顔を揃えた。

◆シルヴィオ・ソルディーニ監督(『アガタと嵐』)
『アガタと嵐』は、コメディタッチのものとしては『ベニスで恋して』に続いて2本目です。成熟していくと興味対象も変わっていくもので、シリウス路線をやりたい時期もあれば、軽妙なコメディを撮りたいときもあるんです。コメディでも、自分の性格として風刺精神を盛り込んでいますが。『風の痛み』のようなドラマティック・シリアスと、軽やかなコメディの2つで、監督としての路線を模索していきたいと思っています。

——日本の監督に影響を受けているそうですね。
若い頃はいろいろな映画を見て、自分の形を形成していきました。尊敬している方は沢山いますが、20歳くらいの頃に見た小津安二郎、溝口監督にとても感銘を受けました。3割方は日本の監督に影響を受けていると思います。フランスや、70年代80年代のドイツの監督、もちろんイタリアの監督にも影響を受けていますが、アメリカの監督には影響を受けていません(笑)。

◆ダヴィデ・フェラーリオ監督(『真夜中を過ぎて』)
若い頃、監督になりたいとはまったく思いませんでした(笑)。文化の香りもしないような田舎に住んでいたんですが、そこでシネ・クラブを立ち上げ、12万人の人口で6000人の会員を集めました。その形体が発展していって、私のところに脚本の仕事が来るようになって。そして18年後、東京で皆さんに映画の話をしているというのは不思議に思います(笑)。『真夜中を過ぎて』は特殊な位置付けの映画で、私にとって2番目のスタート地点。これまで映画を撮っていくうちに、自分の映画が注目されていないと感じて。そこでアメリカに移ったんですが、2年間具体的に作ったものはなにもなかった。今度はイタリアに戻ってみたけれど、どのプロデューサーからも声がかからなかったんです。なので自分で作るしかないと。なので2番目の、新たな出発点となりました。デビューしたて監督のような気持ちですが、実は50歳のおじさんなんです(笑)。

◆ジョルジォ・パゾッティ(『真夜中を過ぎて』主演俳優)
文化の違う国でこんなにいっぱいお客さんが来てくれて、とても嬉しく思います!僕は15年間空手をやっていて、日本を深く理解したいとずっと思っていました。10まで日本語で数えられるのと、空手の基本の型ができるくらいで、進歩していませんが(笑)。空手ではなく俳優として東京に来ているというのは人生の妙ですね。

——俳優を始めたきっかけがとても変わっているとか。
そうなんです。僕もなんで俳優になったのか不思議で(笑)。まずエピソードⅠとしては、スポーツドクターの資格を取ろうと思って中国にいたんです。そして偶然なんですが、中国の格闘技映画に出ることになって。ただただ最初から最後まで殴り合うのみでしたが(笑)。2〜3本の作品に出て、イタリアに帰って、映画のオーディションを受け始めました。

……イタリア映画祭2005「座談会」【2】へ続く……

(yamamoto)

☆「イタリア映画祭2005」は、5月4日(水)まで有楽町朝日ホールにて開催中!

□「イタリア映画祭2005」公式サイト
イタリア映画祭2005