——“緑玉語”のアフレコはどのような感じに行われたのでしょうか?

 「実際に僕が映像を見て「ンワァギュワァグュワァ〜」とか言っている音を拾って、それを声優さんに聞いてもらってやってもらいました。
 グリーンピース役のワタナベイビーさんは、歌う時は“ウンワァ〜ッ”てすごく可愛い声を出しますが、地声は低いんですよ。それで地声ではなく歌う時の声を出してもらうまでにはちょっと時間がかかりましたけど、熱演してくれました。台詞の量も多かったので、最後の方はもうふらふらでしたよ。一番最後のテイクをとったのは、夜中の一時とかそんな感じだったので。
 ベイビーと僕はもう、お互いにこの山を征服するぞ!って感じで臨んでいたんですが、ジョーカー役の我集院達也さんは、これまでにも色々と声優もやってますから、逆にあり過ぎてこっちが迷うみたいな感じでしたね。もう、楽しかったです。毎回変な声を出して。ブーメランを投げる時も「ウリュッ!」だけでよかったのに、「ハベランで行きましょう、ハベランで!」とかね。ご本人も僕もすごく楽しんでましたよ。
 実は今回のキャラクターでは、ピンキーの声が一番難しいんですよ。でも田中要次さんが、超上手くて。タイミングもほとんど一発であわせてきつつ、アドリブまでするみたいな。本当に能力がすごいんですね。
 あと、脇のキャラクター等は声優さんにやってもらったんですが、流石に声優陣は上手いし量も少なかったので、サクサク進みましたね」

——プロローグ部分はフランス語で、本編はコマ撮りでハリウッド的なアクションあり、ゴシック趣味ありと、ごった煮的な幅の広さも楽しかったです。音楽が本格的なシネジャズだったりするのも、往年のハリウッド映画を意識されたものですか?

 「タイトルバックはソウル・バス的な雰囲気を志向しましたし、街のセットはどちらかというとヒッチコック的な洗練されてカッコイイ線を目指しました。普段から雑誌等をを見ていても、これはいいな!と思うと切り抜いて残しておき、何かの時に使ったりするんですけど、僕はわりと何を見てもそれを咀嚼して吐き出せる方なんですよ。自分がいいと思ったら、その部分だけ抽出し、噛み砕いて出すって感じですね。でも変な話、同じコマ撮りアニメーションからは、逆にそれはやりにくい。それ以外のものからだったら、わりとなんでも要素をもらって、自分で使うのは得意ですね。
 音楽に関しては、実はほとんどお任せでまさかこんなにカッコイイのが上がってくるとは思ってませんでした。音楽の中塚武さんのCDは聞いていたので、この人にお願いしようと思ったんですが、まさかあんなにジャズになってくるとは思わなかったし。サントラとかも初めてだったそうですが、タイミングもばっちりですよね。親父がやはりジャズとかモータウンをよく聞いていたのを一緒に聞いたりもしていたので、やっぱり僕の耳にも馴染みがいいです」

——最後に、本作中で栗多監督が一番思い入れのあるキャラクターと、これから観る観客へのメセージをお願いします。

 「やはりグリーンピースですね。共に地獄を歩んできた仲って感じがしますしね。でもどのキャラクターにも、自分の中のある部分が極端になって出ていたりするんで面白いですよ。短編では、そうしたサブキャラの方にもスポットを当てていくのでご期待ください。
 本作に関して言えば、とりあえず何も考えずに見ていただければいいです(笑)。お好きなように、面白くなければ面白くない、面白ければ面白いと言っていただければいいかな」

——本日は、どうもありがとうございました。

(2005年2月22日 都内にて)

☆『緑玉紳士』は2005年4月30日より、渋谷 シネマライズほかにてモーニング&レイトロードショー公開!
(殿井君人)

□栗田監督インタビューリンク
栗田やすお監督インタビュー −1−
栗田やすお監督インタビュー −2−
栗田やすお監督インタビュー −3−
□作品紹介
緑玉紳士
□公式頁
緑玉紳士