『クルシメさん』『恋する幼虫』など繊細でグロテスクでキュートな作品で知られる井口昇監督が持つもう一つの顔、スカトロAV監督としての大家である彼がみずからの「うんこ」に対する愛情をポップな筆致で書き綴った初の単行本「恋の腹痛、見ちゃイヤ!イヤ!」の出版記念イベント「腹痛ナイト」が新宿ロフトプラスワンにて開催された。
 井口昇愛好者である松尾スズキの一言からはじまったこの作品は、松尾スズキの公式ホームページである「松尾部」の連載「今うんこが熱い!」からはじまった。イベントでは活弁映画監督の山田広野さんの絶妙な司会によって、応援ゲストとしてこの松尾部部員の面々も多数登場しそれぞれ熱い昇論を語った。
まず第一部は、エロ漫画家の刹那、まるで双生児かのような相似した風貌からユニット「金紙・銀紙」として活躍する漫画家の河合克夫、歌人の枡野浩一の3名の部員が登場。それぞれに「恋の腹痛〜」の感想を語った。金紙・銀紙の二人は新聞の担当コーナーでこの本をとりあげるや「うんこ」という文字を巡って掲載紙担当者を上司との板ばさみに陥れる事態に巻き込んでしまったとか(笑)。とはいえ井口の文才をして「今年一番感動した本」と語る枡野さんは、新しいものを表現していくという意味でも非常に正しい文学であると絶賛し、「井口さん、きっと今後小説を書くことになると思いますよ。」と今後の活動を占う発言も。刹那さん、河合さんもそれぞれに腹痛をテーマに井口に捧げる作品を披露。井口感激。
 宮崎吐夢さんが登場し坂本九の「上を向いて歩こう」の腹痛バージョンを熱唱するシーンでは会場もますますHOTにさせた。
 そしてむかえた第二部では、イラストレーター&漫画家で松尾部部員の篠崎真紀さん、そしてこの本の出版プロデューサーである松尾スズキさんがシークレットゲストとして登場した。「うんこ」と井口は切っても切り離せないと語る松尾さんは、「意外と松尾さんの性癖はストレート。13歳くらいの男の子かってくらい普通」との篠崎さんからの揶揄に、「性の目覚めはウルトラマン。敵にやられて『ゼィッ!』って叫びながら耐えるところにキた」と一生懸命変態ぶろうとつとめた。また、井口15年来の夜の友だった日活ロマンポルノを自分で編集したという陵辱ビデオも上映。早回しで解説をつけていく井口のなぜか活弁口調に松尾さん大ウケ!
 最後第三部は、もっとディープに。15年来の付き合いである平野勝之さんをはじめ、カンパニー松尾さん、バクシーシ山下さんらAVビデオ監督3人に加え、庵野秀明さんという奇妙なとりあわせでAV業界に入りたてのころの井口を語る昇黎明期トークへ。「はじめて会ったときは普通の映画青年といった感じでこのまま業界に埋もれていくのかと思った(笑)」と感慨深げに語る平野さん。まさかうんこに恋してたとは知らなかったとか。その後平野勝之監督による井口昇の童貞喪失の瞬間のビデオ(しかも相手はあの林由美香さん!)など、超濃厚なひとときの連続に眩暈がするような一夜を堪能した。
(綿) 

※「恋の腹痛、見ちゃイヤ!イヤ!」は全国書店にて絶賛発売中!

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