前作『アイスエイジ』に続き全米では初登場興行収入ナンバー1の大ヒットを記録したフルCGロボット・ファンタジーアニメーション『ロボッツ』のクリス・ウェッジ監督が、アート・ディレクター(以下AD)を務めるスティーヴ・マルティーノと共に先頃来日し、3月25日には六本木グランドハイアットにて記者会見が開催された。
 『ロボッツ』はウェッジ監督にとって、『アイスエイジ』以前より温めていたまさに念願の企画。ロボットたちが生活するロボット・シティ等細部まで作りこまれた世界観は、ウェッジ監督にとっても自ら「誰も行ったことも見たこともない世界を、それが本当にあり触れられるような感覚になれるよう描くことができました」と語るほどの快心の出来となっているようだ。それらの世界観構築についてお二方は、
 「ロボット・シティの構築は本当に0からのスタートでしたが、敢えて参考にしたということでは、我々の世界にある機械・メカ・部品等ですね。この150年間あまりに人間が作ってきた様々な機械からインスピレーションを受けたんです。廃品置場や家庭の中、そうした日常の中に埋もれている機械をどのように再構成できるのか?ということですね。そうしたこれまで我々が知っているものが我々のビジョンの中で進化して、本作の世界が出来上がったんです。これまでのどんな映画にも、例になるようなものは全くありません」(ウェッジ監督)
 「私達が参考にしたものは、実際に我々が見てきたものというよりは、我々の実際の経験や想いなんだと思います。例えばロドニー(主人公のロボット)が、ロボット・シティに出てきてビッグウェルド・インダストリーズを希望に満ちた眼差しで見上げるわけですが、あの気持ちは私が若い頃初めてマンハッタンに出てきて摩天楼を前にした時に感じたスケールや色々な感情を、ロドニーも同じように感じているものとして表現しようと思ったんです」(マルティーノAD)
とそれぞれコメント。またロボットが誕生しさらに成長していく姿を描いていくに際し盛り込まれた斬新な数々のアイデアに関しては、
 「本作を製作するにあたり、我々は何年も何年も、250人以上のスタッフ全てに意見を求めて思考錯誤を続けてきたんです。それらはまさに、我々の“ネバー・ギブアップ”精神の賜物といえるでしょう」(ウェッジ監督)
 「私はウェッジ監督の姿勢によるものだと思いますね。彼は常にスタッフたちに対して、「一番簡単な答えには流されるな、最初に考えついたものは必ず捨てて、さらに深く考えろ」と、深く突き詰めることを言いつづけ、また自らにも課しているんです。その成果なんです」(マルティーノAD)
と語った。
 そんな二人にとって、大好きなロボット映画を尋ねてみたら、お二方が共通に最高のロボットは、フリッツ・ラング監督の『メトロポリス』のマリアで「作品そのものも素晴らしいが、彼女に生命が吹き込まれ場面はまさに魔法のような瞬間!」(ウェッジ監督)等、絶対的な支持を表明。その他では、「自分が成長期に見た作品と言うこともあって『スター・ウォーズ』のR2D2とC3POのインパクトは忘れられません。ロボットにも感情があるという部分は、本作でも影響されてますね」(マルティーノAD)、「『新スタートレック』のデータ。ほとんど人間に近い存在であながら、何かが足りなくて本人もそのことに気づいており、それをいかに埋めるのかという部分での攻めぎあいには興味がつきません」(ウェッジ監督)とのこと。それらの作品をチェックすれば、本作でのロボットの描かれ方をより深く楽しむためには、これらの作品が一つの指標となっているようだ。
 なおウェッジ監督の気になる次回作は、ファン待望のあの作品になるそうだ。「『アイス・エイジ2』を予定していて、中心となる3匹も健在で大活躍をしてくれるはずです。ただし繰りかえしにはしたくないので、勿論新たなキャラクターも生み出して行くつもりです」(ウェッジ監督)
 なお、『ロボッツ』は2005年8月、全国夏休みロードショー!
(殿井君人)

□作品紹介
ロボッツ
□公式頁
ロボッツ