4月10日“Little Bird イラク戦火の家族たち”の綿井健陽監督と小宮悦子アナウンサーの試写会トークイベントが行われた。
 作品は戦争下のイラクに渡り、ニュース報道を舞台に精力的に中継リポートを送りつづけたビデオジャーナリスト、綿井監督の1年半の取材期間で記録した、ニュースでは報道されることがなかった未公開映像を含む123時間の映像を102分にまとめたものである。ナレーションや音楽を加えることなくストレートに戦争の意味を問いかけ、本当の戦争の姿を鮮烈に描いたドキュメンタリー話題作だ。

 トークイベントには綿井健陽監督と、「ニュースステーション」「スーパーJチャンネル」で戦争時に中継を行っていた小宮悦子アナウンサーが登場した。
小宮「映画では、音楽もナレーションもないですが、何もないところにこそ素材があるいますが。」監督「テレビなどは塩や胡椒などで味付けされた映像だと思います。この映画を観客には自分がバグダッドにいるように感じてもらえるように撮りました。」作品は、イラク人側とアメリカ兵側の両方を撮っている。小宮「どっちか片一方に片寄った映画が多いと思いますが、このように双方から撮っているのは珍しいですよね。これ以上罪のないイラク人を殺さないでくれ!と監督に言われた米兵がうつむくシーンが印象的で、涙が出そうになりました。」監督「米兵は自分と年齢も近く、向うから話し掛けてきてくれました。でも、戦争の意味や大量破壊兵器の話になると、答えられなくなる。思い込まされているんですね。」
小宮「私たちの世代は戦争を知らず、まるでゲームのような感覚ですよね。映画は戦争の事実を伝えてくれます。」監督「テレビのニュースだと、その時の状況を伝えるだけです。5年後、10年後には残らない。この戦争を映像で残したいと思い、映画にしました。」
小宮「この作品では、戦争が始まる前から時系列でイラク戦争を見ることができますが。」監督「戦争の10日前からイラクに入ったが、皆のんびりしていて、驚きました。戦争がはじまり、イラク人に『戦争は3日前から始まったのではない。』と言われました。」
小宮「イラクの今の状況は。」監督「今もイラクは同じような状態です。今は、イラク軍が前の米軍のようなことをしています」

映画の中でイラク人が監督に「何で日本はアメリカの味方なんだ?」と問われる。イラク戦争にアメリカ側として加担した日本人として、見て欲しい映画である。

(T.S)

作品は2005年GWより 新宿k’s Cinema、大阪シネ・ヌーヴォ
名古屋シネマテークにて順次ロードショー 

□作品紹介
Little Birds -イラク戦火の家族たち-