日本ではヘラルドの“悪魔の”シリーズ(実は悪魔が出てくる映画は1本もない)第2弾として75年に封切られ、従来の怪奇映画ファンからは支持どころか蛇蠍の如く忌み嫌われ、かつ見たものに重い澱を残した伝説のホラー・ムービー『悪魔のいけにえ』。85年、ビデオバブルに沸く日本でのビデオリリース及び、特別上映やその後のリバイバル公開によって、さらに多くのホラー・ファンや現在のJホラーを牽引する若手クリエイターたちに多大な影響を与えた狂気の怪快作が、いかにして作られたかを、スタッフやキャストの証言で解き明かす、ファン待望のDVDがリリースされた。『悪魔のいけにえドキュメンタリーパック』は、88年に製作された『悪魔のいけにえ』のオリジナル・キャスト陣が、撮影自体も狂気に満ちていた現場の様子を振り返り語る“ファミリー・ポートレイト”と、00年に製作され、キャストのみならずトビ・フーパー監督は勿論スタッフの証言を加え、さらにその後シリーズ化された『悪魔のいけにえ』ワールドについてまで多角的に顧みる“ショッキング・トゥルース”という二本のドキュメンタリをメインに据え、さらに日本で『悪魔のいけにえ』に魅せられた、映画監督・ライターなどによる特製ブックレット、オリジナル・コメンタリー、インタビュー映像等を収録し(詳細は下記リンクを参照)、『悪魔のいけにえ』というホラーのジャンルさえもを越えた事件とも言うべき作品の真相に迫る、ファンにとってはまさに垂涎もののソフトになっている。

 このDVDの発売を記念してのイベントが、3月28日にNAKED LOFTにて開催された。当日は、本ソフトのリリースに尽力したジャンクハンター吉田氏がホストを務め、リリース元であるカプコンの佐藤氏、DVDのヴィジュアルを担当した高橋ヨシキ氏、人間の狂気については一家言を持つ作家でブックレットにも寄稿をしている平山夢明氏、本DVDでもオリジナルインタビュー映像特典として、『悪魔のいけにえ』の魅力を語っている山口雄大監督がゲストとして登場、一部ヤバメなネタを交えつつ、それぞれの『悪魔のいけにえ』という作品との出会いから、第2回東京ファンタでトビ・フーパー監督が来日した時のエピソード、そして作品が発する悪魔的な魅力についてを、ドキュメント映像の上映を交えながら約3時間にわたって熱く語り、会場に集まった『いけにえ』のコアなファンを魅了した。その一部を抜粋して紹介しよう。

 「『悪魔のいけにえ』の凄いところは、これを見て1億人以上の映画を作りたい人が増えたってことだ。俺にとって、トビ・フーパーは、ハリウッドの水木しげるだね。チェーンソウというハンディでありながら、あれだけ強烈な凶器を用いたということも凄い。印象はジャンキーの妄想のようだが、作品自体はスマート。演出自体もドライで、事件を日常のこととして追っていっているので、淡々としていて殺戮場面ではまさに屠殺場の牛の気分」(平山夢明氏)

 「カークがレザー・フェイスに撲殺される場面を筆頭に、兎に角編集が凄い。これはなかなかできることではない」(山口雄大監督)

 「全部見せているのに、えげつない描写はせずによりえげつない感覚になっている」(高橋ヨシキ氏)

 昨年、30年ぶりのリメイク版『テキッス・チェインソー』が公開されるなど、今なおスラッシャー映画に多大な影響を与え続けているモダン・クラシックの真実を知る、貴重なドキュメント『悪魔のいけにえドキュメンタリーパック』はカプコン セルピュータレーベルより発売中!
(殿井君人)

『悪魔のいけにえドキュメンタリーパック』
■2枚組
■片面1層
■DOLBY DIGITAL
■オリジナル(英語)ステレオ /日本語コメンタリー/日本語字幕
■価格:\7,140(税込)
■発売・販売元:カプコン セルピュータレーベル
disk-1 『ファミリー・ポートレイト』
■本編約64分+特典映像
■4:3スタンダードサイズ
■1988年アメリカ
■監督:ブラッド・シェラディー
disk-2 『ショッキング・トゥルース』
■本編約75分+特典映像
■LBビスタサイズ
■2000年イギリス
■監督:デヴィッド・グレゴリ−

□公式頁
悪魔のいけにえドキュメンタリーパック ファミリー・ポートレイト&ショッキング・トゥルース