日本映画界の巨匠として国内はもちろん海外からもリスペクトされている鈴木清順監督。2001年には10年ぶりの監督復帰作『ピストルオペラ』が大きな話題となり世界中にその衰えぬ清順節を轟かせたわけだが、今年で82歳になる彼の最新作は子供のころから大好きだったという絢爛豪華なオールスターミュージカル時代劇「狸御殿」シリーズのリバイバルものだというからこれは要注目だ。半世紀にわたる監督人生のなかで「清順美学」という言葉まで確立させた彼独特の美的センスによって、歌って踊れるはちゃめちゃな時代劇「狸御殿」はどのように描かれていくのだろうか。狸と人間との道ならぬ恋を軸に個性的なキャラクターたちが彩りを添える作品中、ヒロイン狸姫を演じるのはアジアの至宝こと中国映画界のナンバーワン女優チャン・ツィイー、絶世の美男子・雨千代に『血と骨』でアカデミー助演男優賞を受賞したオダギリージョー。

 3月29日、新宿パークハイアットでおこなわれた記者会見には、鈴木清順監督、チャン・ツィイー、オダギリジョーの3名が出席した。開口一番「本日は「狸御殿」シリーズ、8代目の襲名記者会見においでくださいまして誠にありがとうございます!」と清順監督は監督らしい口ぶりで口上を述べた。今、なぜ「狸御殿」を復活させようと思ったのですか?という問いに「お祭り騒ぎがしたかったから」と一言だけ答えてにっこり微笑む。しょっぱなから清順監督がかもしだす飄々としたムードに、集まったマスコミ陣は軽く狐に・・・、いや狸につままれたかのようだった。「天下のべっぴんさん、天下の色男がそろっているんですよ。映画は美男美女じゃなくっちゃね!」と言ったきり口をつぐんでしまった。狸翁・・・という言葉が失礼ながら頭をよぎる。
 たいして天下のベッピンことアジアの至宝チャン・ツィイーはどうだろうか。「シナリオを読んで一番不思議に思ったことは、世界的に有名な清順監督がなぜこれほどまでにピュアなラブストーリーを撮ろうとしているのかということ。清順監督の映画にはぜひ出たいと思っていました。私にとっては神様のような存在で、一緒に仕事をしたいると毎日驚きと喜びを与えてくれる方です。すばらしい創造力をもっていて、監督というよりはマジシャンという感じに近いですね。」とかなりのほれ込みよう。
天下の色男こと共演のオダギリジョーは、「脚本をいただいた時点で、ダンスと歌があることはわかっていたのでそれは覚悟していたんですが、チャン・ツィイーさんは、日本の踊りなのにちゃんとすぐ習得できているのに、僕のはかなりへなっちょくて・・・。正直ダンスは一番大きな障害でした。」とかなりの苦戦ぶりを明かした。鈴木清順作品に関しても「現場でも何を考えているのかわからなかったです。こんなにはっきりした芝居のビジョンがつかめなかったのは初めてですよ!監督に意図的にそういう方向にもってかれていたのかな?一番の狸は監督ですね。(笑)」と清順翁の狸ぶりに一番翻弄されていた様子。
 老若男女、見たらみんな化かされるかも?!奇天烈で愉快な狸映画『オペレッタ狸御殿』は5月28日より丸の内ピカデリー2他、全国松竹・東急系にて公開!
(綿野)
 
□作品紹介
『オペレッタ狸御殿』