『ばかのハコ船』『リアリズムの宿』などその乾いたコミカルな味わいのある作風から「日本のアキ・カウリスマキ」と称され、若手監督の中でもっとも注目されている監督の一人である山下敦弘監督。前作では伝説の妹萌えアニメの実写化『くりいむれもん』に挑戦し、見事に山下世界へと消化させた力量が高く評価された。そんな山下監督の最新作は、女子高生たちが文化祭で演奏するためにブルーハーツのコピーバンドに挑戦する様を描く青春映画。しかもボーカルをつとめるのは、『ほえる犬は噛まない』『子猫をお願い』など若手女優の中で人気実力ともに韓国映画界のトップに君臨するぺ・ドゥナだというから驚きだ。韓国からの留学生という設定で、ぺ・ドゥナが日本語でブルーハーツを熱唱するというウルトラCもあるという。山下版『スイング・ガールズ』なのか?といぶかしがって参加した、完成披露試写会には、山下監督、ぺ・ドゥナをはじめ現在公開中の『ローレライ』で紅一点のヒロインを演じミステリアスな魅力が話題を呼んでいる香椎由宇、実力派女優の前田亜季、現役ミュージシャンである関根史織ら、ブルーハーツ(青い心)を自分たちで演奏しよう格闘する女の子たちをみずみずしく演じた出演者たちが集合!(しかも制服姿で)
 山下はぺ・ドゥナの起用について、「映画祭で『ほえる犬は噛まない』のポン・ジュノ監督と知り合う機会があって、冗談で「ぺ・ドゥナちゃんに会わせてください」っていったら「ああ、いいよ」と仰ってて、それを真に受けてしまったんですよ。」とはにかみながらエピソードを明かした。山下監督についてぺ・ドゥナは「これまでの作品を見せていただいて、すごくよかったので是非ということで参加しました。はじめて山下監督とお会いした時、すごく可愛らしい感じだと思ったんですが、瞳がすごく鋭かったので、「ああ、いい映画を作りそうな人だな」と思いました。」と語った。
ラストシーン彼女が熱唱する横顔をみていたら泣きそうになってしまったという山下監督。ブルーハーツの飾り気なしのまっすぐな歌を、青春時代というゆらめく時期を過ごす少女たちが力強く歌うこのシーンは、この作品がちょっと他ではなかなか作りえない青春映画の傑作だと確信させてくれる大きなエネルギーそしてせつなさに溢れている。
(綿野)

☆『リンダ リンダ リンダ』は2005年初夏、シネセゾン渋谷ほか全国ロードショー!

□作品紹介
『リンダ リンダ リンダ』