『害虫』『黄泉がえり』の塩田明彦監督が最新作『カナリア』で挑むのは、カルト集団の子供の「その後」というセンセーショナルな題材。12歳の少年、少女を強烈な存在感を持って描き、これまでの塩田作品を上回る最高傑作がここに誕生した。
 
 公開初日となる12日(土)には監督、出演者による舞台挨拶が行われ、壇上には塩田監督、石田法嗣さん、谷村美月さん、西島秀俊さん、甲田益也子さんが登場した。

「いろんな奇跡に支えられて、今この場にいるんだなと思っています。石田くん、谷村さんによく会えたなーと思いますし、西島さん、甲田さんはよくぞこの映画に出てくれたと」と語ったのは塩田監督。「でも本当はそれは奇跡ではなくて、映画が好きな人間が集まって、いいものを作ろうと力を合わせれば、やっぱり何か奇跡が起こったように思えてしまうんだなとちょっと感じています」と感慨深げに語った。続けて、主人公の光一を演じた石田法嗣くんは、つらかったことを聞かれると「特に大変だったのは逆さ吊りのシーンです。なにしろ初めてだったので…」と回答。ちなみに石田くんは緊張をほぐすために現場ではダジャレを言っていたとのこと。

「最後の雨のシーンで、ドライバーを奪い取るところがとても大変でした。雨にぬれて、衣装も薄かったのでとても寒かったです」と語った谷村さんは、光一の戦友・由希役を務め、新人とは思えない熱演を披露。共演者からも「(演技に入る前と後の)切り替えがすごい」(西島さん)「演技がとても上手で、自分も引っ張られた」(石田さん)と絶賛された。

続けて、カルト元信者を演じた西島さんは「とても難しい役でしたね。いつも以上に現場で感覚を開いて、そこで何かが起こるんだと思って演じました」、光一の母親役である甲田さんは「本をもらった時、泣いちゃって演じることが出来ないんじゃないかと思った。でも内容と裏腹に現場はすごくいい雰囲気でした」とそれぞれ役柄、作品を振り返った。

最後に塩田監督は「それぞれが感じた事を持って帰ってもらえれば。題材が題材なだけに、賛否両論はあると思いますが、もし気に入ってくれたら人に薦めて欲しいです」と語り、舞台挨拶を締めくくった。

(yamamoto)

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□作品紹介
『カナリア』