早くも“今年最も素晴らしい青春映画”との予感がする井筒和幸監督の最新作『パッチギ!』が本日公開初日を迎え、シネカノン有楽町にて舞台挨拶が行われた。登壇したのは、井筒監督、松山康介役の塩谷瞬さん、キョンジャ役の沢尻エリカさん、布川先生役の三石研さん、モトキ役の波岡一喜さん、チェドキ役の尾上寛之さん、ガンジャ役の真木よう子さんの7名。

 上映後、新鮮な感動に包まれている会場に監督・キャストが姿を見せると力強い拍手が沸き起こる。塩谷さんは「監督や鬼軍曹たちに泣かされました。普段泣くことってないんですけどね」と言い、河を渡るシーンでは、テストでスタントの方が激流に流されたにもかかわらず「さあ康介、やろか」と平然と言われたとエピソードを語って笑いを誘い、「ぼくのパッチギはどうでしたか?」と会場に問いかけ大歓声を浴びる。
 沢尻さんは「電話で韓国語を話すシーンが何度も撮り直しをして大変でした」と、アフロヘアで撮影に挑んだ真木さんは「あんな頭だったし、女の子なのに飛び蹴りシーンとかもあって激しい方でしたけど、楽しくやれました」と撮影を振り返る。アドリブが多かったという三石さんは「監督を笑わせようと思ってやりました。そのためだけに(笑)」と、劇中の楽しい雰囲気そのままに明るく挨拶。若手キャストたちも「先生」「先生」と口々に三石さんを呼び、仲の良さが伝わってきた。
 波岡さんが「真剣にやってるのに「学芸会はやめろ」と監督に言われました」「セメントをかけられるシーンありましたよね。あれは本物なんですよ。頭が固まる前に急いでシャワーを浴びました」と、尾上さんが「血のりのついたタオルを巻いたまま休憩の時に街を歩いたら、誰も目を合わせてくれなくて、ちょっと気持ちよかったです(笑)」とのコメントをすると、「もっと他にないんかい」と監督が苦笑いしながら突っ込んでいた。
 「こんな奴らとやるのはしんどかったですわ」と言いながらも言葉を詰まらせる監督に「監督、最高だったよ!」との温かい声が客席から向けられ、「ありがとう」と顔をほころばせる感動的な場面が。「最高やったで、とメール打ってください。50人でいいですから」と皆を笑わせる監督の目には、少し涙が光っているようにも見えた。そして「今日はありがとうございます」と深々と丁寧にお辞儀をして、舞台挨拶は幕を閉じた。

 「パッチギ」とは、ハングルで「突き破る、乗り越える、頭突き」の意。この映画は、観る者の中の何かを突き破るパワー、観る者が何かを乗り越えるために背中を押すパワーがある。ぜひ、この爽やかで深い感動を味わってください!!
(村松美和)

■『パッチギ!』はシネカノン有楽町、アミューズCQN他にて全国ロードショー中!

□作品紹介
『パッチギ!』