独自の古代穴窯による信楽自然釉を成功させて陶芸界に新風を吹き込む女性陶芸家であり、また息子・賢一の発病をきっかけに骨髄バンク運動を始め、全国の白血病患者を勇気づけ続ける女性としても名高い神山清子。映画「火火」は、実在するひとりの女性の、芸術家として、母として女として火のように生きる姿を描いた、実話に墓づく人間賛歌、命の賛歌である。
 本日、『火火』の初日舞台挨拶が劇場超満員となったシネスイッチ銀座で監督の高橋伴明さん、主演の田中裕子さん、岸辺一徳さんを招いて行われた。

 高橋監督は「昨夜は、今日の初日舞台挨拶の事を考える度にすごく不安になりましたね。本作『火火』は僕が今まで撮ってきた作品と全く違ったものになったのでどのような方達が来場してくれるのだろうか?と。でも、こうして沢山のお客さんに見に来て頂き大変嬉しく思います。」と安堵の笑みを浮かべ挨拶をした。実在の人物の神山清子さんを演じた田中さんは、実際に神山さんから陶芸シーンなどの直接指導を受けたという。陶芸については、「私の場合、長い時間をかけてずっと関わっていた訳でなく短期間で軽く触れた程度でしたが私にとってとても良い経験になったと思います。」と語り、監督については、「私は高橋監督の脚本がすごく好き。特に前半の(窪塚俊介さんが演じる息子・賢一との)親子の掛け合いがすごくいいなと感じました。」と発言すると岸部さんも、「映画に出て演じる事が僕達の仕事ですが、その中で“この映画に出たい!”“あの俳優さんと共演したい!”という想いが一番大切なのです。それを基準として僕はこの作品を選びました。皆さんが本作を観て、良かったと思ってくれたのなら僕がこの映画を選んだ事は正解だったという事です。」と後に続いた。

 本日は登壇できなかったが本作で息子・賢一を演じ、衝撃の映画デビューを果たした窪塚俊介さんはじめ、周りを固める豪華キャスト達のリアルな演技にも大いに注目である。そしてもう一つの見所はやはり劇中に登場する本物の穴窯やその窯の中で燃える火、そして大窯や水指、花器、食器等の沢山の陶芸作品の数々だろう。
ぜひ多くの人達に劇場へ足を運んで頂き、肌で“本物”を感じてもらえたらと思う。

※『火火』は、本日2005年1月22日、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、関内MGAほかロードショー公開
(菅野奈緒美)
■作品紹介
火火 ひび