『ゆきゆきて、神軍』『全身小説家』などで名を馳せているドキュメンタリーの鬼才・原一男監督の最新作がついに完成!監督初の劇映画『またの日の知華』は、知華という一人の女性の人生を、吉本多香美(第一章)、渡辺真起子(第二章)、金久美子(第三章)、桃井かおり(第四章) の四人の女優が時代ごとに演じ分ける“カルテットキャスト”で注目を集めている。企画から足かけ十年を経て本日ついに公開初日を迎え、新宿のシネマスクエアとうきゅうにてスタッフ・キャスト七名による舞台挨拶が行われた。
 
 原監督は「十年ぶりの新作。撮影の中断があったりしました。公開できることが奇蹟と言ってもオーバーでないと思います。感無量です」と満員の観客を前に少し目を潤ませながら挨拶。監督の長年のパートナー製作・脚本の小林佐智子氏は「ありがとうございます」と丁寧に深々と頭を下げる。
 ハリウッドから凱旋した桃井かおりさんは「ほんと、出来上がらないと思ってた。(カルテットキャストと聞いて)ドキュメンタリーの監督は女優をなめてると思った」と言い会場に笑いを起こしたのち、「これは監督が四人の女優とともに戦った記録ですよ」と、“野生のライオン”と現場で呼ばれていたという桃井さんらしい口調で言葉を添える。吉本多香美さんは「人生で自分は何が欲しいのか、生きることについて考えさせられました。今も知華は私の中にいます」、渡辺真起子さんは「最初のシーンは何年前に撮ったのだろう(笑)映画を作るために生きている人がいるのだと原監督を見ていて思いました。こういう作品に出会えてよかったです」と知華を演じた感想を述べる。
 夏八木勲さんは「四色の知華をお楽しみください」と深みのあるコメントを、また昨年亡くなった金久美子さんの遺影を抱いて登壇した小谷嘉一さんは「映画初出演でしたし思い出深い作品です。役者の大変さや凄さを感じました。金久美子さんに教わったことを励みに頑張っていきたいと思います」と瑞々しいコメントをした。

 その後の囲み取材で、桃井さんは金久美子さんの訃報について「何があるか分からないですよね。今日一日をしっかりやるしかない」と述べ、「出演作品を選ぶ基準はカン。お金で選ぶわけじゃない」と、華やかなハリウッド映画と自主製作との比較を意識した発言も聞かれた。「(企画から十年なんて)普通ならやめてるよね(笑)。映画だから頑張っているという感じだった。監督が止まりそうになる度に相当蹴ってましたよ、“野生のライオン”は。噛まないだけよかったよね(笑)」と楽しそうに語り、封切りを心から喜んでいる様子が終始うかがえた。
(村松美和)

■『またの日の知華』は、本日1月15日より新宿シネマスクエアとうきゅうにて公開中!
ほか名古屋シネマテークにて2月12日より、新潟シネウィンドにて3月5日より、大阪・シネヌーヴォにて3月19日より公開。札幌シアターキノにて、金沢シネモンドにて3月公開予定。広島、福岡は今春公開予定。

□作品紹介
『またの日の知華』