『来年のクリスマスイブ、この東京が真っ暗になります。そして、キャンドルを灯した瞬間、交錯しはじめる、いくつもの奇跡』

来年冬に公開予定の話題作『大停電の夜に』のプロジェクト発表記者会見が、六本木アカデミーヒルズにて行われた。
本作は、去年8月14日に北米で起こった、史上最大のニューヨークを始めとする『大停電』と、北米航空宇宙防衛司令部NORADが全世界の子供たちに贈るクリスマスイベント¨サンタクロース追跡レーダー¨にインスパイアされたオリジナルストーリー。
会場後ろのカーテンが開き、窓からライトアップされた東京タワーが見える演出後、記者会見に登壇したのは、監督・脚本の源孝志さん、撮影監督の永田鉄男さん、脚本の相沢友子さん、プロデューサーの荒木美也子さんの4人である。

まず、本作の製作に至るまでを、プロデューサーの荒木さんは、「今から1年3ヶ月くらい前、まずは、脚本の¨カリュアード¨(源監督と相沢さんの合同脚本のユニット名)と、監督探しから入った。その後、源監督からいただいたアイデアの1つが『停電』の話で、そこから話が盛り上がり、インスパイアされた企画です。真っ暗な『東京』に息づく『鼓動』。ここには同席していませんが、素晴らしいスタッフばかりです。」と語った。
源監督と相沢さん合同脚本の¨カリュアード¨について相沢さんは、「共同脚本は良いところも悪いところもあるが、男女の視点でディスカッションしながら書くのがとても新鮮で楽しかった。」と語った。
また、本作は、02年に、仏映画の最高峰のセザール賞・最優秀撮影賞に輝いた永田鉄男さんが、満を持して日本映画に参加したことも話題である。撮影について、永田さんは、「大停電の状況や、日本のスタッフとの仕事が不安だったが、大変ながらも、楽しくやっています。」と撮影が順調であることを語った。

そして、北米航空宇宙防衛司令部NORADの全面協力に至った背景について、荒木さんは、「NORADの協力がなくては、この映画は完成しない。何度も手紙を送り、同じような夢を持っている人たちが日本にもいる。ということを分かってもらえ、全面支援をいただいた。」と、その苦労、そして報われたことを語った。また、音楽のビル・エヴァンス『MY FOOLISH HEART』について、源監督は、「この曲は大好きな曲で、いつかこの曲を作品に使いたいと思っていた。」と、源監督の念願が叶ったようだ。

作品の内容にについて、脚本の2人は、「今まで勇気がなくて言えなかったことや、解決できなかった問題が、停電が1つのきっかけとして、自分の力で解決していく。」(源監督)、「停電をきっかけに、大切にできたこと、発見したこと、一歩足を踏み出せたこと、その一晩を越えたことで何を手にしたか。」(相沢さん)と、まだまだその全貌は明らかでないながらも、誰もが何かを感じ、心が温まる作品になるのは確かだ。

そして、同時に気になる14人の主要キャストも発表になった。主演に豊川悦司をはじめ、田口トモロヲ、原田知世、吉川晃司、寺島しのぶなど、豪華なキャストが勢ぞろい。現在は撮影の真っ最中だが、来年のクリスマス、この14人が、闇の中でキャンドルに照らされ、素晴らしい光をはなつことであろう。

最後に、この作品について、源監督は「今、撮影途中ですが、全カット素晴らしいです。」と、出来が素晴らしいことを明らかにし、荒木プロデューサーは、「この映画を見た後に、どこかちっちゃな灯りが心の中にともる映画にしたい。公開までの1年間、応援よろしくお願いします。」と期待させるコメントを残した。
 
¨停電¨という、今までになかったテーマ、それもパニックものではなく、心が温まる作品。
真っ暗な東京を舞台に、14人の登場人物それぞれの心に灯る感動の物語。キャンドルの向こうで語られる真実の告白とは…。

来年のクリスマスが今から楽しみである。
(籠宮誠)

※『大停電の夜に』は、来年冬公開

■作品紹介
大停電の夜に