現在、タレント・構成作家として『水曜どうでしょう』他数々の番組を手がけるとともに、映画監督としての道を開拓している、鈴井貴之監督の三作目の映画『銀のエンゼル』の初日舞台挨拶が新宿のシネマミラノで行われた。
会場は、監督、出演者が登場する前から、上映後ということもあり、ものすごい熱気に包まれていたが、監督、出演者が登場すると、「大泉〜!」や「鈴井さ〜ん!」といった歓声で、割れんばかりの雰囲気だった。
登場したのは、鈴井貴之監督、小日向文世さん、佐藤めぐみさん、大泉洋さんの4人である。

質問は、まず、撮影の現場について。
鈴井監督は「今日は俺が一番遠くから来ました。」と、韓国へ映画制作のために留学中のことを語り、早速笑いを誘い、映画の内容については「とてもほっとできる内容。」と出来に満足の様子。今作が映画初主演となった小日向文世さんは「映画はTVと違ってクランクアップから長い時間を掛けて初日を迎えるため、また出演者と会えて幸せ。2週間くらいの撮影の中で、辛いことは1つもない。夢のような作品。第2、第3弾と続けられたら幸せ。」と語っていた。その小日向の娘役を演じた佐藤めぐみさんは「私は、唯一北海道出身ではないので、寒いシーンの撮影は大変だったが、いい作品ができました。2もよろしく。」と次回作にも期待の様子。そして、トラック運転手のロッキー役を演じた大泉洋さんは「この作品を観たら7日後に死にます。次回はロッキー2でお願いします!」と言うと会場は大爆笑。

キャスティングについては、鈴井監督は「狙いすぎず個性的。」であると言い、主演の小日向さんのキャスティングについては「まさに!!何人かリストアップした中で・・・決定!!そしたら、後で(小日向さんが)北海道出身という事が分かった。」と、まさに運命的なキャスティングであったようだ。

印象的なシーンについては、小日向さんは「村上ショージさんとガソリンスタンドの屋根の上に昇るシーンで、そこで見た景色がとてもきれいで、来てよかった。どのシーンも楽しくて、楽しくて仕方なかった。一番自分が楽しませてもらった。」また、大泉洋さんから「寒くて、スタッフの手があかぎれになったときに、小日向さんが、僕今から薬買ってきてあげる!と、撮影場所のコンビニで薬を買ってきた。」という微笑ましいエピソードも。しかし、「その時間、現場の撮影が止まってる。」というオチも。 大泉さんは「めぐみの部屋でギターを弾くシーン。あのあとから二人は付き合うように・・・。」と言うと、佐藤さんが「やめてください!!」とすかさずナイスツッコミ。その佐藤さんは「最後のシーンの撮影の時、大泉さんが直前まで笑わす。」と言うと、大泉さんは「冷たくされればされるほどちょすかける。」と、北海道弁で応戦。ちなみにこの『ちょすかける。』というのは、「ちょっかいをかける。さわる。ということ。」(鈴井監督談)らしい。また、鈴井監督の印象について、佐藤さんは「監督としてはかっこよかったけど、あとでバラエティを見たら、株が下がった。」という笑える話も。

最後に、鈴井監督と小日向さんに『銀のエンゼル』について、小日向さんは「たくさんの人に観ていただきたいと思っています。テレビだとチャンネルを回せば観れますが、映画は劇場に足を運ばないと観れない。是非、友達や家族にすすめてください。ありがとうございました。」 鈴井監督は「この物語の続編『銀のエンゼル 出会えない5枚目を探して』が、発売になります。この家族の2年後を描いた作品です。是非読んでいただきたい。個人としては、韓国に映画修行に行っています。韓国の映画が凄いのは、映画製作よりも、観る方がたくさんいるということ。そういったところで、みなさんが足を運ぶような作品を作り、DVDや、レンタルよりも、劇場、スクリーンで作品を観てほしい。」そして、「この作品ということではなく、映画というものをもっと観てもらいたい。」と、日本と韓国を比べ、映画を劇場で観ることの素晴らしさを語った。

そして、監督、出演者の退場なのだが、この時の声援も入場の時に負けないくらいものすごかった。そして、大盛況のうちに舞台挨拶は幕を閉じた。

大泉さんが話しているときに『死ぬほど好き』という横断幕を持ったお客を見つけると、「あとで殺しますから」と監督が言ったように、誰かがボケれば、誰かがツッコむというような、さながら『水曜どうでしょう』を生で観ているような、笑いの絶えない、とても面白い舞台挨拶だった。
その中で、もっとも印象的だったのは、小日向さんの笑顔である。自分が話している時はもちろん、他の方が話している時でさえ、いつも笑顔で耳を傾けていた。多くの映画、ドラマを観ている時と同じで、彼を見ていると、こちらまで幸せな気持ちになってくる。まさに、『銀のエンゼル』の北島昇一役は見事な適役と言えよう。
そして、続編の小説『出会えない5枚目を探して』とともに、出演者の話にも出てきた「第2弾、第3弾」にも期待したい。その後の家族の物語、そして見過ごしがちな幸せを、このキャストでまた描いてもらいたい。
(籠宮誠)

※『銀のエンゼル』は、新宿シネマミラノにて公開中。

■作品紹介
銀のエンゼル