誰もが感じる「大切な瞬間」を丹念に積み重ねた小さな傑作
PFF2001で企画賞を受賞し、8mmながらもレイトショー公開されて話題を呼んだ『犬猫』を、井口奈己監督自身の手でリメイク、更なる傑作が誕生した。身近にいる犬や猫のように、普段の生活の一コマを切り取って綴った『犬猫』。
本日、『犬猫』のティーチイン試写が新橋のスペースFS汐留で行われた。登場したのは、今までのイメージをガラリと覆すヨーコ役に挑戦した榎本加奈子さん、料理上手でどこか風まかせ、テキトーなようでいてニクめないスズを自然体で演じた藤田陽子さん、そして本作で監督・脚本・編集を担当した井口奈己さん。コメントは以下の通り。

———–本作に出てくる主人公たちのモデルとなった人物はいますか?
井口監督:「女子トークを繰り広げてこんな話もあるよ、とかそういった意見をまとめたものなのでモデルはいましたね。でも、男を取り合ったという話だけフィクションですよ(笑)…今回は8mmで撮ったものをリメイクするという事で、前の8mmですべてやり尽くして完成してしまっていたので戸惑いましたが、『犬猫』は『犬猫』でも全く別のものと考えればいいのかと思い、作りました。不安は多かったけど結果的には楽しい経験ができたな、と。」
———–キャスティングについては?
井口監督:「企画の時点で榎本さんは最初から決まっていました。ただ、ようこ役ではなくスズ役で。でもメガネかけて榎本さんが報われない女ようこをやったらおもしろいのでは?という考えで急遽この役をやる事になったのです。スズを演じた藤田さんは某携帯電話のCMを見てこの人だ!と思いキャスティングしました。」
————ようこ役はどうでしたか?
榎本:「台本読んで今まで自分が演じていた役とは全く違っていたので、逆に私はハチャメチャなスズ役の方がいいのでは?と思いましたね。でも実際演じてみて自分の中にもようこみたいな所があるのかな、と発見もあったので良かったです。」
————スズ役はどうでしたか?
藤田:「役作りの為、髪をバッサリショートに切った時から日曜もスズになる位に役が染み付いていましたね。スズのヤンチャな部分とか思い立ったらすぐ行動!という部分は自分と似ているのかな?(笑)『犬猫』は自分の中で忘れられない作品になりました。」

『犬猫』は、第22回トリノ国際映画祭・審査員特別賞、国際批評家連盟賞、最優秀脚本特別賞受賞と数々の賞に輝いた作品でもある。新鋭監督の力量にも大注目。

(菅野奈緒美)
『犬猫』は2004年12月4日より渋谷シネ・アミューズほかにて全国順次ロードショー!
■作品紹介
犬猫