幼いままの少年サム。
彼の能力が“特別”だったから、家族は引き離されていく
本日、渋谷シアターイメージフォーラムにて『ニワトリはハダシだ』の初日舞台挨拶が行われた。
本作は、第16回東京フィルメックス特別招待作品、第54回ベルリン映画祭フォーラム部門招待作品、第17回東京国際映画祭コンペティション部門出品 最優秀芸術貢献賞受賞作品という素晴らしい快挙を遂げた作品である。
その本作のゲストの方々、森崎東監督、肘井美佳さん、浜上竜也さん、加瀬亮さん、倍賞美津子さん、原田芳雄さんの総勢6名が登壇し、早速お話を伺った。

役作りについて浜上さん「やはりこのような役(障害者役)は難しかったですね。でも、常に笑顔で素のままでいこうかと。このサムという役は僕の心の中のもう一人の自分みたいなものです。監督も君の素のままで、と言ってくれたので。」すると監督「最初浜上くんに会った時、ボーッとこちらを見て“ニタッ”と笑ったんですよ。こいつなら最後までサムをやれると思いました。笑顔がいいしね。」と語った。映画初出演の期待の新人、肘井さんは倍賞さんに思い切り叩かれるシーンについて「一番印象に残っているシーンです。でも、その後すぐ心配してくれて。」と言うと「ミスしないように思い切りやりました。(笑)」と倍賞さん。加瀬さんに関しては「この役通り、撮影中は戸惑ってばかりでした。僕は自分のシーンがない時でも原田さんや倍賞さんのシーンを見に行っていたんですが特に原田さんのシーンはおかしくて仕方なかった。自分もあのように出来たら、って。」原田さんは体張っているシーンが多いと言う事で「でも、海がすごく怖くて。だって毒クラゲも大量発生していたんですよ。そんな海の中に突き落とされるし。刺されなかったのは奇跡ですよ!」と原田さんが撮影当時を振り返ると皆から笑いが起こった。原田さんのような人にも怖いものがあるのだと。そして最後、監督の言葉「“ニワトリはハダシだ”という意味は〈分かりきった事の例え〉、とある。その分かりきった事や当たり前の事を、改めてもう一遍見つめてみるという事、それを皆さんにして欲しくて作った作品なのです。だからどうか瞳を逸らさずに見て下さい。」
その後、ゲスト全員で「ニワトリはハダシだーっ!」と叫びながら手を力強く突き上げ、大歓声と拍手に包まれながら舞台挨拶は幕を閉じた。
(菅野奈緒美)

■作品紹介
ニワトリはハダシだ