実在の父をモデルに描いた梁石日のベストセラー小説「血と骨」の映画化が遂に実現し、本日より公開が始まった。崔洋一監督は、構想に6年もかけ脚本を20回以上書き直すという並々ならぬ熱意をもって製作に臨み、主演にビートたけしと鈴木京香を迎え、寺島進や新井浩文、オダギリジョー、松重豊、中村優子ら実力派俳優ががっちりと脇を固めている。

 丸の内プラゼールでの初日舞台挨拶には、崔監督、ビートたけし、鈴木京香、新井浩文、オダギリジョー、寺島進、中村優子、柏原収史、濱田マリ、原作者の梁石日氏、総勢10名の錚々たるメンバーが一同に会した。
 凄まじく暴力的であらゆる欲望の化身、金俊平を演じたビートたけしは、俳優に専念しての映画出演は14年ぶり。「殴ったり蹴ったり、まさかこんなひどい役とは(笑)。しかし撮影を進めていくうちに役者冥利に尽きると思いました」と述べ、俊平の妻・李姫を演じた鈴木は「(製作が始まるのを)本当に何年も待ったんです。最高に優秀なスタッフと共に作り上げられ、この上ない喜びです」と静かに微笑みをたたえる。俊平の息子・正雄役の新井は「緊張してしまって…」と言いながら「映画館に観に来てくださってありがとうございます」と挨拶。正雄の腹違いの兄・武役のオダギリジョーは「この役ができ幸せです。重く、何か表現できないものを受け取ってしまったように感じます」、俊平の愛人・清子役の中村は「清子は過ぎていく日常に意識を向けさせてくれる役でした」、俊平の下で働く賛明役の柏原は「原作にはない賛明は、唯一暴力とは無関係なところで生きている役です。素晴らしい作品に出演でき嬉しいです」と、思い思いに作品や役について語る。俊平の娘・花子の夫役の寺島が「アニョハセヨー!今日はカムサハムニダ!」とお客さんを笑わせる場面もあった。
 ビートたけしが「正雄!正雄!」と叫ぶのを聞く度にドキドキしていたという梁氏は、「この映画は革命的映画。映画に対する価値観や概念を超えている」と絶賛。現場では“ミニ俊平”と呼ばれていたらしい崔監督は「ただただ御礼申し上げます。映画は観て頂いて真の完成。皆さんの胸の中、体の中に記憶されることを願っています」と、念願の映画化作品の公開に喜びもひとしおという様子。そして、この『血と骨』がイギリスや北米での公開決定というニュースが入ると、「どこでも一家で舞台挨拶に行きたい」と満面の笑みを見せた。
(村松美和)

■『血と骨』は、丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系で公開中!
□作品紹介『血と骨』
崔洋一監督インタビュー