東京国際映画祭2004:特別招待作品 伝説の作曲家コール・ポーターと妻リンダの不滅の愛と音楽を描いた『五線譜のラブレター』舞台挨拶
全ての愛をひとりの作曲家に捧げた妻
その愛の全てを“音楽”に捧げた夫
華やかなミュージカルの舞台よりもっとドラマティックで激しい夫婦の愛が実在した。
40年にわたる音楽人生を通じて、約870曲にのぼるミュージカルや映画の歌曲を作詞・作曲。「夜も昼も」「エニシング・ゴーズ」「ビギン・ザ・ビギン」など永遠のスタンダードとして語り継がれる名曲の数々を、世に送り出した天才コール・ポーター。2004年カンヌ映画祭の栄えあるクロージング作品に選ばれた本作は、そんなポーターと、彼の音楽のミューズであり続けた妻リンダ・リーとの運命の絆にスポットを当てたミュージカル・ドラマ。
コール・ポーター演じるのは、アカデミー賞受賞の名優として、『アイスストーム』『海辺の家』などに主演しているケビン・クライン。彼はミュージカル『ペンザンスの海賊』でトニー賞を受賞したブロードウェイの大スターでもある。本作では、その歌唱力を存分に発揮。そんなクラインと息の合った共演ぶりを見せるのは、リンダ役のアシュレイ・ジャッド。ポーターをとてつもない包容力で包み込み、彼のラヴ・ソングにインスピレーションを与え続けたリンダの女性像に、ヴィヴィットな輝きを与えた彼女の演技は、はやくもオスカー候補の呼び声がかかるほどの高い評価を獲得。初挑戦のミュージカル・シーンでも堂々たる歌いっぷりを披露している。
本日、ケビン・クライン氏が海外からのゲストとして舞台挨拶に臨んだ。
ケビン:「こんにちわ。私は日本へ来たのは初めてで今日は滞在2日目です。今の所まだ日本という国、気に入っています。笑)本作を制作している時は本当に楽しかった。だからこれから観る皆さんにもぜひ楽しんでほしいです。」
「役柄にはどこから入りましたか?」との質問に対し、クラインは「音楽から入りました。僕は元々ピアノをやっていて暫く離れていたがこれを機にまた再開したのです。」と語った。そう、彼は劇中の中で13曲のポーター・ナンバーを聞かせるほか、プロも顔負けのピアノの腕前も披露している。
「なぜずっと日本へ来なかったのですか?」と聞かれると、「すみません。自分が今まで出演したものが日本で公開されてた時に、丁度僕は次の作品に取り組んでいる事が多かったもので忙しくて…でも今は無職なので来ました。妻から日本の素晴らしさを聞いていたのでやっと来れて嬉しいです。」と笑顔で答えると会場中に拍手が。しかし、クライン氏これをこれから映画の上映が始まるものと勘違いし、去ろうとする所で司会者に呼び止められ恥ずかしそうにしている姿はなんだかおちゃめだった。
その後、女優の麻生あくら氏から花束贈呈という事できれいな花束が手渡されハグを交わした。クラインは次こそとばかりに退場しようとするがまたもや司会者に呼び止められ…
はい。この後は写真撮影です。司会者に「クラインさん意外とせっかちですね。」と言われると会場からも笑い声が。クライン氏「いや、早く映画を見せてあげたくて。」とこれまた照れくさそうに答えた。
写真撮影後は無事終了し、手を振って今度こそとばかりに笑顔で会場を後にするクライン氏なのだった。
さてそんなクライン氏が出演する本作『五線譜のラブレター』は音楽で綴るラブ・ストーリー。
極上の音楽の糸で丹念に織り上げられた不滅の愛のタペストリー。ミュージカルの老舗MGMの80周年を記念するにふさわしい一級の芸術品が、いまここに誕生した。
(菅野奈緒美)
■東京国際映画祭
http://www.tiff-jp.net/index_j.html