これは、真実の物語である。アメリカ大統領機エアフォースワンに唯一設置され、アメリカ国内で最も権威あるとされる政治マガジン「THE NEW REPUBLIC」。その人気ジャーナリストが次々と放った、スクープ記事41。そのうち27の記事が、実は“作られた”ニュースだった…。ジャーナリズムの在り方について改めて考えさせられる作品『ニュースの天才』。トム・クルーズが製作総指揮にあたったことでも話題を呼んでいる。
 ニュースの捏造に走ってしまった実在の記者、スティーブン・グラスを演じたヘイデン・クリステンセンが来日し、記者会見を開いた。その演技の見事さは、実際のスティーブンを知る当時のTHE NEW REPUBLIC誌編集長チャールズ・レーン氏が、「君があまりにもグラスに似ているから、彼を思い出して気味悪くなったよ」と苦笑いしたというエピソードからもうかがうことが出来る。会見の席に現れたヘイデンは、びっくりするほど作品の中の印象とは違い、実に爽やかな好青年だ。

Q:この記事捏造のニュースを以前から知っていましたか?
ヘイデン:「捏造が発覚した1998年、ぼくはカナダの高校生だった。当時は知らなかったけれど、後に知って、そのことに関してもスティーブン・グラス本人にも興味をもった。そしてビリー・レイを探して、これを演じたいと交渉したんだ」
Q:トム・クルーズからの、役作りに関してのリクエストはありましたか?
ヘイデン:「任せてくれていたようで、それは特になかったかな。けれど、作品全体に対しての関わり方には本当にいいアドバイスをもらった。映画以外の、色々なことについてもよく話したよ」
Q:普段の取材を受ける側から、取材をする側に立ってみて、マスコミに対する認識は何か変わりましたか?
ヘイデン:「色々とリサーチしたり勉強した中で、ジャーナリズムの難しさ、そして自分の考えを押し付けずにレポートする方法の難しさを感じました」
Q:デビュー以降、心理的描写の難しい役どころが多いが、目指すものは?
ヘイデン:「脚本やキャラクターをみて、いいものがあればやっていきたい。ダークな部分も、模索しながら演じている。もしかしたら方向転換もあるかもしれないが、面白くやっていきたいね」
Q:“真実を伝えること”がジャーナリズムのルール。俳優にとってのルールは?
ヘイデン:「まさに同じで、“真実を伝えること”だと思う。いかに誠実さを伝えるかが大事だよ」

 若干23歳のへイデンだが、俳優歴はなんと16年目。スティーブン・グラスの捏造疑惑を追求するチャック役を演じた、ピーター・サースガードとの堂々たる共演も見どころ。何が正しくて、何が間違いなのか…。すべては、複雑に絡み合っているのだ。
(村松美和)

■11月27日VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズにて先行プレミアロードショー
 12月4日TOHO CINEMASほか全国順次ロードショー

□作品紹介『ニュースの天才』

■東京国際映画祭
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