オーストラリアから愛をテーマに描いた『サマーソルト』という作品が届いた。
東京国際映画祭コンペティション部門に選ばれた『サマーソルト』の記者会見で姿を見せたのは、監督のケイト・ショートランドとハイジ役のアビー・コーニッシュ。

監督のケイト・ショートランドは2000年にオーストラリアン・フィルム・テレビジョン・ラジオ学校を卒業し、今後最も期待できる生徒としてサザン・スター賞を受賞した。そして今までに4本の短編映画を監督。ベルリンやロンドン等、数々の国際映画祭で絶賛を博し、賞も受賞した。その後2001年から2003年まで、何本かのテレビドラマを監督。『サマーソルト』は初長編映画監督作品となる。

Q、本作を作るにあたってインスピレーションはどこから?
ケイト:「以前わたしは養護学校で教えていた事があり一人の生徒と出会いました。彼女はアブリジニのブロンドの髪の子でどうやって愛を伝えて良いか分からない、そんな感じの子を見てきて本作に繋がるインスピレーションを受けたのかもしれませんね。」

Q、アビーが演じたハイジという女の子は自分に似ている点ありましたか?
アビー:「自分の役は大小関わらず接点はあると思います。ハイジに似ている部分もあるし、全く違う部分もある。役者と言うのはどの作品、どの役柄でもそう感じるのではないでしょうか。」

Q、『サマーソルト』というタイトルにしたキッカケは?
ケイト:「本作はヨーロッパの配給だがアメリカにもどちらでも通用するタイトルを、と思いました。あと、“サマーソルト”というのは前に倒れてもまた立ち上がる、という意味を持つんです。アビー演じるハイジは16歳。16歳はそういう時期なのではと思い、付けました。」

Q、ハリウッド映画がメインだが、あなたのような監督がオーストラリアで監督を続ける難しさは?
ケイト:「ハリウッド映画が王道だがオーストラリアにも映画業界あるしハリウッドがあるからこそ、そういう所で資金が捻出されるのかなと思います。それに自分は色々な国へ行けるし様々な映画祭にも参加して交流しています。色々な人や国と交流する事がオーストラリア人にとってすごくプラスになるんです。皆さんとの交流が色々な事を可能にしていくのです。」

アビー:「世界中で受け入れられる映画だと思います。“生きる”という厳しさや愛といったテーマは全世界共通で変わりはないからです。だからこの作品を多くの人に見て頂き沢山の事を感じ取ってもらえたら、と思います」
と本作についてのコメントを締めた。

本作は9月からオーストラリアで上映、そしてアカデミー賞にもノミネートされた。映画祭はまだ開催されていないが、お二方は帰国したら早速ノミネーションを受けるとの事。
15作品の中からのノミネーションという事で監督、出演者含め大いに期待しているのだそう。
(菅野奈緒美)

□作品紹介
『サマーソルト』
□東京国際映画祭
http://www.tiff-jp.net/index_j.html