『ゆきゆきて、神軍』『全身小説家』などの大ヒット作を世に送り出し、国内外から高い評価を受けその地位を確固たるものとしているドキュメンタリーの鬼才・原一男監督が初めて挑んだ劇映画、それが『またの日の知華』である。資金難によって何度も撮影を中断せざるを得ず、1996年の企画誕生から2004年の完成までに実に8年に及ぶ月日が要された、ひどく“難産”であった本作。様々な苦難を乗り越え、本日スペースFS汐留にて完成披露試写会が開かれ、原監督、渡辺真起子さん、小谷嘉一さんが舞台挨拶を行った。

 嬉色満面の原監督は、「10年ぶりの新作。こんなに時間がかかるとは思わなかったですね。支えてくれた方の力が絶妙なバランスで動き、やっと完成しました。惜しくも亡くなられた金久美子さんも、天国で観てくれていると思います。」と述べる。そして渡辺さんが「こんなに長い間1つの映画に関わることは、あまりないですよね。これが原監督なのだなあと思いました。」と、当時高校を卒業したばかりだったという小谷さんは「右も左も分からない状態でした。金久美子さんにも本当にお世話になり、感謝しています。今完成して、すごく嬉しいです。」と続ける。

 本作で注目すべき点のひとつが、「男たちから見たヒロインは、それぞれ違って見えるはず」との観点から、4人の女優がひとりのヒロイン・知華を演じている(カルテットキャスト)ということ!激動の70年代を生きる知華を、吉本多香美さん(第一章)、渡辺真起子さん(第二章)、金久美子さん(第三章)、桃井かおりさん(第四章)が競演している。「これを思いついた時、一瞬「俺って天才!」と思いました(笑)。大先輩の黒木和雄さんに相談したら、「観客が感情移入できないだろう。やめなさい。」と言われて断念しかけましたが、一晩経って「よし、やってやろう!」という気になりました。」との逸話も披露。

 原監督の渾身の一作から、あなたは何を感じますか?(村松美和)

『またの日の知華』は、2005年新春第2弾シネマスクエアとうきゅうにて公開!