米誌フォーチュンが7月29日に発表した「アジアで最も勢いのある25人」に選出された、中国の家電メーカー・ハイアール社のCEOチャン・ルエミン氏をモデルとした映画『CEO』。CEOとは最高経営責任者を指し、日本においての会長職や社長職にあたる。17年前から毎年企業成長率80%、中国の学生が就職したい企業NO.1の個人能力主義を貫くハイアール社。チャン氏が如何にして倒産寸前だったハイアール社をここまでの巨大優良企業にしたかという過程が描かれており、主人公の名前こそフィクションではあるものの、きわめてドキュメンタリーに近い形の作品である。

 公開に先立ち、本日銀座ガスホールにて『CEO』試写会が開かれ、上映後にウー・ティエンミン監督、脚本を共同執筆したロー・シゥエイン氏、そしてなんとチャンCEOが登壇しての舞台挨拶が行われた。
 監督は「チャンCEOとそのもとで働く社員たちが、一丸となって操業にかける精神を描きました。ですが、ハイアール社の素晴らしさはこの映画だけで伝えきれるものではありません。本国での公開時、「中国にはまだ希望がある」という感想を言ってくれた観客の存在が嬉しかったです」と、ロー氏は「この映画は企業の宣伝ではありません。絶えず前進し向上していこうという気持ちは、中国だけでなく世界に通じるものだと思います」と述べる。チャンCEOは、「映画化の話を頂いたとき最初は断りましたが、社に対する監督たちの理解が非常に深いことに感銘を受け承諾しました。約3年の歳月をかけて、脚本も10回も書き直して出来上がった作品です」と、完成までの経緯を語る。

 記者から「この映画はハイアール社の良い宣伝になるのでは?」との質問を受け、「表面的には効果的な宣伝に見えるかもしれない。だが、成長期にある企業にとっては良くない面もある。映像などの他の力を借りてではなく、自らの業績によって宣伝をしていくことが最も大切」と答えるチャンCEO。穏やかさの中にも確固たる軸・揺るぎない信念をもつ稀に見るトップリーダーの姿は、とても頼もしく見えた。
(村松美和)

『CEO』は、2004年12月中旬よりポレポレ東中野にてロードショー!