シリーズ第6弾 「完全なる飼育—赤い殺意—」若松孝二監督 初日舞台挨拶!
1999年からほぼ年1作のペースで作られてきた「完全なる飼育」シリーズも、今
年、セックスとバイオレンスの名匠・若松孝二監督作品で第6作目となる。監禁される少女をモデル出身の伊東美華、監禁する男を佐野史郎が演じ、若松監督の演出で魅せられる。少女を助け出そうとストーリーを切り開いてゆく役を大沢樹生が奮闘する。9月18日、新宿武蔵野館で満席の中舞台挨拶が行われた。
「初日を迎えていかがですか」と聞かれると、「こんなに御客様に来ていただけてうれしい。」と若松監督。大沢さん、伊東さん、佐野さんも続けて「うれしいです」と喜びを口にした。初主演ということで伊東さんは「監督、佐野さん、大沢さん、皆さんに支えられて演じることができました」と語り、監督は「演技じゃない、あれは素だな。」とあっさりと切り崩し、一同笑みがこぼれた。
伊東さんにはハードなシーンも多くあり団結のため「撮影中の10日間だけでいいから俺に惚れろ、と始めに言ったね。」と監督のぶっきらぼうな愛情が伺える。
佐野さんは「俳優は良い監督に演出されて監督に引き出してもらってこそ、監督を尊敬するし、皆も生き生きとするね。」と今回の現場を象徴した。居酒屋で飲んで酔っ払ったときに「若松、このヤロ〜、殺してやる!」と騒いだと話すが、撮影終了後の高い緊張感がほぐれたあとだったからと言い、若松監督はそれを笑い自ら喜ばしげに語る。高い集中の中、いかに絆があったかを思わせる。
監督と大沢さんとはテレビで会ったことから映画出演に繋がり、台本がうまく行かないときは大沢さん、佐野さんの所へよく飲みに行ったという。最後に「佐野さんとのハードな絡みと青年との出会いにより変化する少女を見てもらいたい」と話した。
この映画に込められた意味は「戦争である」と監督は言う。少女の精神を軸に人間性の剥奪から回復までの戦いこそ、その意味に含まれるものは不変的な題材である。監督は「この映画の中にある意味をくまなく汲み取って欲しい」と語る。映画に潜む意味に触れる瞬間こそ映画を見たことになるのかもしれない。
(佐藤麻理恵)
★2004年9月18日(土)より新宿武蔵野館にてレイトショー公開中!
□作品紹介
『完全なる飼育 赤い殺意』