歌舞伎舞踏の中でも、特に情念や優美で艶やかな恋心など多彩な女心の表現が必要とされるために、女形の踊りの集大成とも言われる大曲「京鹿子娘道成寺」をモチーフに、大胆なオリジナル脚本と歌舞伎界の女形スター・九代目中村福助をはじめとする個性豊かなキャストを配し、日本の美と究極の男女の愛を追求した幻想的なラブ・ストーリー、それが『娘道成寺〜蛇炎の恋』である。

 28日に遂に公開初日を迎え、東劇にて、高山由紀子監督、中村福助さん、牧瀬里穂さん、風間トオルさん、須賀貴匡さんが舞台挨拶を行った。大入りの会場に中村さんが姿を見せると、「成駒屋ー!」と何度も屋号を叫ぶ歌舞伎ファンも。
 お客さんが入ってくれるか心配だったという監督は、「こんなに来て頂いて、天にも昇る気持ち。苦労がふきとびます。ぜひぜひ好きになって下さい」とにっこり笑う。中村さんは「昔は歌舞伎小屋だった東劇で封切られるとは幸せ。男性は女形を演じているので、誰が一番きれいかなんて観るのも面白いかもしれません」と述べ、さらに牧瀬さんが「カッコイイ男性3人の女装がきれいでびっくり」とこれから映画を鑑賞するお客さんの期待を煽る。「福助さんが高野山で踊るシーンは圧巻!」と風間さんが見どころについて語り、須賀さんは「たどたどしい踊りですが、楽しんで観て下さい」とごくごく謙虚にコメント。
 
 「福助さんの映画出演、高野山、道成寺、3人の女装など、なかなか観れない映画です」と牧瀬さんが言っていたことに加えて、歌舞伎・大衆演劇・モダンダンスなど様々な踊りのシーンも大きな魅力のひとつとなっている。「企画から7年。大切な財産です」と監督が愛情込めて丹念に作りあげた本作品。美しい映像と共に、キャストたちの光る演技をお楽しみください。
(村松美和)

■『娘道成寺〜蛇炎の恋』は東劇にて公開中!

□作品紹介 『娘道成寺〜蛇炎の恋』