8/4から14までスイス、ロカルノで開催されていた第57回ロカルノ国際映画祭のコンペティション部門に出品されていた市川準監督の最新作『トニー滝谷』が、グランプリ金豹賞に次ぐ賞である審査員特別賞(SPECIAL JULY PRIZE/賞金CHF30000)と国際批評家連盟賞にあたる”FIPRESCI”(フィプレッシ/FEDERATION INTERNATIONAL DE PRESSE CINEMA)、そして、若者の審査員が選ぶベストフィルムに与えられるヤング審査員賞をトリプル受賞をした。『トニー滝谷』は、10日(プレス上映)、11日、12日、13日に上映され、市川監督が映画祭に参加。表彰式は現地14日の映画祭最終日にメイン会場であるPiazza Grandeで行われました。コンペティションの審査員は、ラース・フォン・トリアー監督作品の常連でもある名優ウド・キアー、『天上の恋歌』の余力爲(ユー・リクウァイ)監督、『イルマ・ヴェップ』のオリヴィエ・アサイヤス監督ほか。日本からは、コンペティション部門には『トニー滝谷』のみが出品され、他部門に『アップルシード』荒牧伸志監督、『CASSHERN』紀里谷和明監督、『SURVIVE STYLE 5+』関口現監督が出品されていました。

『トニー滝谷』は、市川準監督が、10年近く企画をあたため続けていた村上春樹の短編小説「トニー滝谷」(『レキシントンの幽霊』所収 文藝春秋社刊)の映画化。孤独であり続けたトニー滝谷という、ひとりの男を主人公に、そのまなざし、彼の感じたこと、幸福、そして、最愛の妻を失った彼の前で涙を流した若い女性のこと、そして再び訪れたトニーの孤独を、リリカルに、切なく、そして愛情深く描きだした作品。
公開は、2005年テアトル系にてロードショー。

■市川準監督のコメント
「受賞をしたことで、本当の意味で作品に自信がつきました。どこの国でも人の中に存在する孤独や幸福や悲しみは、みな同じなんだと実感しました。そういう意味で、とてもインターナショナルな映画になっているのだと思います。映画祭での上映後、街の中を歩いているとレストランのボーイやジョギングをしている現地の人々が声をかけてくれて、皆口々に”美しい映画だった”と言ってくれました。それは、映画そのものへの評価と、今回の新しい実験的な撮影スタイルの成功だも言えるのだと思います。本当にこの受賞を心から喜んでいます」(ロカルノにて)

■イッセー尾形さんのコメント

「ちょうど去年の9月にクランクインでしたね。真黒に陽に焼けたスタッフの若さ溢れる表情が鮮やかに思い出されます。撮影されたシーンを小さなモニターでチェックする時の、真剣な沢山の目が、その度僕を力強くリフトアップしてくれました。大きな覚悟をさせてくれた、市川監督に、心からのお祝いと感謝を捧げます」(国内にて)

■宮沢りえさんのコメント

「『トニー滝谷』という作品が、国境を越えて旅してることだけでも幸せです。その上ご褒美まで頂いたなんてうれしいです」(国内にて)

□第57回ロカルノ国際映画祭
http://2004.pardo.ch/welcomefla.jsp

『トニー滝谷』は、2005年テアトル系にてロードショー