教育意欲ゼロの都会の悪徳先生が、ド田舎の分校(全校生徒5人)に赴任することに。なんとか甘い蜜を吸おうと躍起になったり、早く都会に戻るために企んだりもするが、いつしか純粋な子供たちや村人たちと心を通わせるようになる。だが、そんな日は長くは続かず、やがて別れが訪れる・・・。

シネマコリア2004が今年も開催されることとなり、キネカ大森では1作品目『先生、キム・ボンドゥ』のチケットを手に開場を待ちわびるお客さんの長蛇の列が見られた。
温厚そうな印象を受ける若手監督チャン・ギュソンさんが登壇し、「お会いできて嬉しいです」と日本語で挨拶。「2003年4月に韓国で公開されたこの映画が、1年後に日本で上映されるとは非常に感慨深い。皆さんの反応が楽しみです」と、少し緊張した表情で語る。そしてお客さんと一緒に鑑賞されるということで客席に移り、上映が始まった。

上映後に大きな拍手と共に再び監督が登壇し、ティーチインが行われた。キム・ボンドゥとは珍しい名前だが?という問いに「封筒という意味のポントゥに似せました」と監督が答えると、場内には「なるほど」といった空気が漂う。(作品内で、封筒はお金を入れる為のものとして使われている。)
子役たちは、皆ソウルっ子。3ヶ月演技指導し、田舎の感じを分かってもらうために半月ほど実際に田舎の学校へ通わせたそう。ソソクを演じた子役はこの映画での演技が評価され、『殺人の追憶』などで韓国のトップスターとの共演を果たしているとの話に、お客さんは驚いた様子。
「泣くシーンでは、とうがらしを使っているのか?」という質問に、監督は半ば呆れ顔で苦笑い。「子供たちには自分の役を理解してもらい、ただ泣くのではなく、なぜ悲しいのかということを考えてもらった」と述べ、映画作りに対する熱心さを感じさせた。
(村松美和)

□作品紹介 先生、キム・ボンドゥ