誰もが知っている『男はつらいよ』シリーズをはじめ、『幸福の黄色いハンカチ』『学校』『たそがれ清兵衛』など多くの素晴らしい映画を世に送り出してきた巨匠・山田洋次監督は『隠し剣鬼ノ爪』で監督生活43年、78作目を迎える。多くの役者と出会い、慕い慕われ、映画界において“山田組”を特別な存在として確立させてきた。その最新作『隠し剣鬼の爪』完成披露試写会が4日、東京国際フォーラムにて行われた。

開演ブザーと共に、楽器を手に続々と登壇するオーケストラの方々。指揮者は、本作品にて音楽を担当した冨田勲氏。映画の舞台となっている雪国の風景や、幕末という時代と人の心の不安を思わせる荒々しさ、そして優しくせつない愛といった壮大な物語が、音楽の中で豊かに表現されている。10分間奏でられたこの曲は、冨田氏が完成披露試写会のために作曲したもので、生演奏は圧巻の一言。場内割れんばかりの拍手に包まれた。

客席で演奏を聴いていた11人のゲストが順に壇上へあがる。その間も、大きな拍手が絶えない。山田監督が「皆さん、傷だらけ汗だらけ泥まみれになって演技してくれた。感謝しています」と述べる。「今日を完成披露するのは、寅さん、渥美清さんの命日であるからでもあります。渥美さんに誉められるような映画を作りたかった。この作品を渥美さんが観たら何て言うだろうか。良かったと言ってくれたらいい」と、亡き名優に想いを馳せて語った。
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(村松美和)

■『隠し剣鬼の爪』は、2004年10月30日より、丸の内ピカデリー2ほか全国松竹系にて公開!

□作品紹介 『隠し剣 鬼の爪』