4人の個性豊かな監督たちによる『穴』をテーマにしたオムニバスムービー。上映開始から毎週土曜日に行われている上映前舞台挨拶のラストバッターは『千里眼』(2000)の麻生学監督と大林宣彦監督作品やテレビドラマなどで活躍する尾美としのりさんのコンビである。

麻生監督は、「『穴』をテーマに好きなことをやっていいと言われたが、阪神優勝で沸いていた時期で、大阪に応援しに行っていた頃だったので、そこから引っ張ってきたアイデアがあったが、実は本田監督のやりたいことで、止めて(笑)、次に佐々木監督がやろうとしたことをやろうとしていて、困りました。」と、アイデア勝負の短編ということで、内容に苦労したというエピソードを披露。

また、尾美としのりさんはチラシのビジュアルに自分の目が使われたことをつっこまれると、「とても恥ずかしかった」とポロリ。また、「尾美さんは撮影がすごく好きなんですよね。」と監督が話すと、尾美さんは、「監督を信じて演じました。撮影は好きなんですが、テレビに出たりするのは苦手でして・・。いつもいい人たちと仕事がしたいと思っていまして麻生監督と仕事が出来たことは幸せでした。」と、演技に対する真摯な姿勢が印象的であった。

短パン・半そでシャツというカジュアルな麻生監督と、スーツでびしっと決めた尾美さん。格好は対照的な二人だが、照れながら話す二人からは相思相愛の様子が伝わって来、夜も深まる上映前の会場を、ほのぼのとした雰囲気が包んでいったのだった。

(Yuko Ozawa)

☆『穴』は渋谷ユーロスペースにてレイト公開中

□作品紹介
『穴』