アジア最大の映画の祭典であり日本で唯一の国際映画祭である東京国際映画祭が、今年も開催される。その概要についての記者会見が28日に六本木アカデミーヒルズにて行われた。大勢の取材陣で満員となった会場の様子から、映画祭への注目度・期待度がうかがわれる。
 登壇したのは、財団法人東京国際映像文化振興会理事長・高井英幸氏、東京国際映画祭ゼネラルプロデューサー・角川歴彦氏、東京国際映画祭組織委員会事務局長・境 真良氏の3名。

 境氏から概要の説明があり、新しい取り組みとして以下が発表された。
●革新の六本木ヒルズ、伝統のBunkamuraをメイン会場として、多彩な企画を実施
 六本木ヒルズにてオープニングイベント開催、Bunkamuraにてクロージングイベント開催。
 六本木のけやき坂にレッドカーペットを敷く。
●フィルムマーケットの開設
 映画だけでなく、アニメ・テレビ・ゲーム・DVD/CDも含むマーケット「東京国際エンタテイメントマーケット2004」を10月22〜24日に幕張メッセにて、「東京国際フィルム&コンテンツマーケット2004」を10月25日〜27日に六本木ヒルズにて、「東京コンテンツマーケット」開催。
●黒澤明賞を新設
 「日本が誇る監督の名がつく、東京国際映画祭だからこそ設けることができる賞」と角川GP。対象は世界的な監督やプロデューサーで、選定委員会は角川GP自身を中心にこれから組織するとのこと。
●新企画
 XーTOKYO(仮称)……例年の映像系イベントであるコンペティション部門、特別招待作品部門、アジアの風部門に新しい顔として加わる。 テーマ別、監督別などの切り口を含め、自由な発想に基づく個性的な特集を組む。
 サテライト上映会……全国数カ所にサテライト会場を設け、映画祭の会場をIT技術やブロードバンド技術を利用して双方向回線で結び、舞台挨拶などで双方向でコミュニケーションを図る。
 国際Web映像祭……今話題のネットムービー、劇場では公開されることのない映画や、その他企業や個人によって製作された映像の祭典をネット上で展開。ネットムービー・グランプリなど各部門賞も設定。
 東京アニメ映画祭(仮称)……日本の映像文化の代表として、輝かしい名作の数々から、斬新なセレクションで紹介。

 そして3人がそれぞれに抱負を熱く語る。
高井氏 「角川氏から二人三脚でやっていこうと言って頂いた。とてもアグレッシブな方で、素晴らしいGPに巡り会えたと思う。今年は新たにフィルムマーケット展開し、スケールアップする映画祭。昨年をホップとするなら今年はステップ。表方と裏方が一体となって開催していきたい」

角川氏 「ベルリンやカンヌなどの映画祭に行き、ダイナミックな世界の流れを感じた。映画祭そのものがサバイバルゲームのよう。その中で日本がどうあるべきか考え、発展可能な改革がテーマとなる。今年も映画祭を成功させたい」

境氏「世界の真似では勝っていけない。日本の強みであるテレビやコミックなどのコンテンツマーケットも展開する。非映像系イベントは堅さを感じるが、それも映画祭への期待の表れ。映画・映像を越えてエンタテイメントにまでビジョンを広げていきたい」

 またプログラミングディレクターの小野田氏からは、「現段階で発表できる上映作品はまだない。昨年は作品のオールスターと言われたが、今年は監督にフォーカスし監督のオールスターにしたい。誇りをもって紹介できるような日本映画も集めていきたい」とのコメントがあった。作品の発表は、8月の中下旬になるそうだ。
 「東京都が行っているマーケット、東京アニメフェアとの差別化はどのように?」という質問には、小学館の久保氏が「そちらはアニメ中心。こちらはコミック・ゲーム・モバイルなど様々なコンテンツも扱っていることが特徴となるが、連携してやっていく」と返答した。

映画を軸とした日本からの文化発信に力を入れていくということで、今年の秋も面白くなりそうです。200本以上の上映作品には、どんな作品が選ばれるのでしょうか。発表され次第、随時レポートしていきますので今しばらくお待ちください!
(村松美和)

■映画祭期間:2004年10月23日(土)〜31日(日)