「マークスの山」の直木賞受賞作家・高村薫が97年に発表したベストセラー「レディ・ジョーカー」。グリコ森永事件に想を得て、業界大手ビール会社社長を誘拐した犯罪集団”レディ・ジョーカー”を通してはげしい人間ドラマを描いたこの作品が、5年の歳月をかけてついに映画化された。その深遠な主題や入り組んだ人物関係など、映像化不可能とされていたこの作品、監督は『愛を乞う人』『魔界転生』の平山秀幸。主演の渡哲也は古巣・日活での映画出演はなんと32年ぶりとなる。誘拐犯を追う若手刑事に、<21世紀の石原裕次郎を探せ>でグランプリに選ばれた石原プロのホープ・徳重聡。二人を筆頭に、吉川晃司、大杉漣、吹越満、加藤晴彦、長塚京三、岸部一徳などベテランから実力派、若手と日本映画を代表するホットなキャスト陣の共演にも期待が高まる。
 27日、赤坂プリンスホテルにてひらかれた製作会見には、平山秀幸監督、渡哲也、徳重聡、長塚京三、加藤晴彦、そして原作者の高村薫が出席した。
「複雑な話なんで映画化なんてきっとできないんじゃないかと思ってましたけど、スタッフの皆さんの情熱にほだされて承諾しました。思いがけないすばらしい監督、スタッフ、メンバーに映画化していただいてびっくりしています。」と語った高村薫は、ほぼ完成しているという本編について「あの面倒くさい小説をよくここまでわかりやすく描いて、きちんとエンターテイメントとしてまとめてくれたなぁと思いました。原作以上に色んな人が楽しめるものになってます。」と太鼓判を押した。
 当初、誘拐される社長役としてオファーされていながらも”レディ・ジョーカー”のリーダーである主人公・物井役をやりたいと申し出た主演の渡は「この物井のように、社会の底辺で生きる普通の感覚をもった人を演じたことがなかったので、この人物像が魅力的に、ので是非やらせてくださいということになりました。」と役柄への熱い気持ちを語った。映画デビューとなる徳重は「裕次郎さんと同じ日活からデビューできてうれしい。役は難しいけれどよい緊張感の中での撮影となりました。ずっと忘れない作品になると思います。」とコメントした。
レディ・ジョーカーのメンバーを演じた加藤晴彦は、「渡さんとのシーンの前日は眠れなくて胃が痛くなるほど緊張した。終わった後肩をたたかれてよかったよ!といわれた時はほっとしました。」と、誘拐される社長役の長塚京三は、「目隠しされてさるぐつわで転がされてる役だけど、って平山監督にいわれましたけど監督に誘われたら1も2もなく参加させていただきますということで精一杯演じました(笑)」それぞれの思いを述べた。「すごく手ごわい原作。上下巻ある小説を2時間映画にまとめるのはむずかしかったですが、2時間の枠の中に収めることが映画作りの醍醐味だし、そこからまた新しいエネルギーが生まれてくると思いますね。」と平山監督。

☆『レディ・ジョーカー』は2004年12月全国東映系ロードショー

□作品紹介
レディ・ジョーカー