デビュー作『アモーレス・ぺロス』で一躍世界中から注目される監督となったスペインの鬼才、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。彼のハリウッドデビュー作ともなった監督2作目『21グラム』は、ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベニチオ・デル・トロという豪華キャストが織り成すせつないまでの運命の物語。交通事故死によって、もたらされた1つの心臓をめぐって、移植手術を受けることができた男、ドナーの妻、事故をおこしてしまった加害者の3人の感情のぶつかりあい、深い魂が描かれる。
 公開の5月下旬を控えて、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督とベニチオ・デル・トロが来日し、会見が開かれた。会見前日に行われたジャパンプレミアの舞台挨拶にも登場した二人であるが、ベニチオは日本での自分の人気ぶりにびっくりしたらしい。イニャリトゥ監督は「東京は故郷メキシコを思わせるところです。懸命に生きる人々のエネルギーが共通しているところかも」とのべた。
 二作目にしてすでにハリウッドデビューを果たした監督は「今回スペインを離れて映画を撮ることに決めたのは、世界一の俳優を集めたかったからです。映画をつくるということは、スタッフ・キャストみんなが一体になってひとつの夢を共有できなきゃいけない。ベニチオ、ショーン、ナオミというすばらしいキャストによってそれが達成できました。」と明かしてくれた。ベニチオは「この仕事を聞いたとき、すばらしいフィルムメイカーから招待を受けたという感じだった。ショーンもナオミと共演できると聞いた時点で脚本はまだ読んでいなかったけど、すぐその場でやる!と決めたんだ。どんな役者でもその状況じゃやるというに決まっているよ。」とコメントした。また、ラテン人としてハリウッドで成功したことについて聞かれたベニチオは「役者だけが自らの限界に挑戦するわけじゃない。映画は一人でなくみんなでつくるもの。それぞれのスタッフがそれぞれの限界をやぶっていかなきゃならない。若い俳優志望の子たちとよく話す機会があるけど、なぜ演技をしたいのか聞くと、”映画が好きだから”って答えが返ってくる。でも映画は役者だけでは作れない。映画をつくりたいなら、例えば編集や音声やその他の仕事も意識しなきゃいけないんだ。目にみえるものだけでなく、映画にかかわるあらゆる局面を勉強しろとアドバイスしている。」と映画人としてそしてよき兄貴としての一面ののぞかせた。ベニチオは、監督と出演を兼ね、ジョニ−・デップ主演で『The Rum Diary』という作品を監督するとか。詳しい様子は動画メニューをクリック!
(綿野)

☆『21グラム』は5月下旬より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にてロードショー

□作品紹介
21グラム