2001年から今年で3回目を迎える「イタリア映画祭」だが、今年は最も人気が高く質のよいイタリア映画の3本を選び「チャオ!チネマ・イタリアーノ」と題した、イタリア映画傑作選を全国のミニシアターで連続上映していく。今回選ばれた3本はネオレアリズモを継承した重厚なタッチで歴史を描き、問題提起する『ペッピーノの百歩』(マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督)、孤独な都会人の日常に迫った『ぼくの瞳の光』(ジョゼッペ・ピッチョーニ監督)、スイスのフランス語圏におけるチェコ移民を描いた『風の痛み』(シルヴィオ・ソルディーニ監督)。
 4月28日には、『ペッピーノの百歩』『ぼくの瞳の光』に主演しているルイジ・ロ・カーショ、『ペッピーノの百歩』のプロデューサーのファブリツィオ・モスカが来日し、会見がひらかれた。
 初めて日本に来たルイジは「移り住もうかな。でも僕はイタリア南部出身だから日本独特のこまかいところにあわせられるかなぁ。」と感想をのべ、「イタリアからは遠い日本のお客さんに作品をみてもらえるのはすごくうれしい。日本映画は映画界にとっても重要でもあるしね。僕はキタノの『Dolls』を観て、日本に行ったら文楽を観たいなと思っていたんだ」と日本への興味も旺盛なようだ。今最も多くのイタリア映画に主演しているルイジは人気・実力ともにイタリア映画のトップスターである。今回の「イタリア映画祭2004」「チャオ!チネマ・イタリアーノ」でも主演作4本(前記の2作品に加えて『輝ける青春』『夜よ、こんにちは(原題)』)が上映される。「舞台をずっとやっていて映画に出演するようになってからはまだ4年目。僕は運がいいんだよ。イタリアの映画は10代よりも30代をターゲットにしたものが多くて、主人公も30代の映画が多いんだ。それが僕の成功につながった。『輝ける青春』でも『ペッピーノの百歩』でも10代から30代までを演じているんだ。」と語った。
 社会派監督マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督の新作『ペッピーノの百歩』は、1970年代にシチリアの小さな町でマフィアの一員である父親に逆らい、反マフィア運動を繰り広げ殺された、実在する若き活動家・ペッピーノの短く激しい人生を描いた作品である。公開時、その年のイタリア映画界最大の収穫といわれ、ヴェネチア映画祭の脚本賞、アカデミー賞外国映画賞イタリア代表など国内外で高く評価された作品である。プロデューサーであるファブリツィオ・モスカは「ペッピーノの地元の人々の彼に対しての認識の薄さなどにも驚いたし、絶対この映画は作品にするべきだと強く感じた。」と語った。

☆「チャオ!チネマ・イタリアーノ」は5月下旬よりユーロスペースにて
『ペッピーノの百歩』『僕の瞳の光』『風の痛み』傑作3本連続ロードショー!

□作品紹介
ペッピーノの百歩
僕の瞳の光
風の痛み