トビー・フーパー監督の傑作『悪魔のいけにえ』(74)のリメイク作として公開された『テキサス・チェーンソー』や、ジャパニーズホラーのハリウッドでの台頭など、今やホラー映画は国内外を問わず世界的な流行ともなっている映画界だが、ゾンビ映画のマスターピースであるジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』(78)のリメイクである『ドーン・オブ・ザ・デッド』がCM出身の気鋭の監督ザック・スナイダーによって作られた。
 スナイダーによる『ドーン・オブ・ザ・デッド』はオリジナルを踏襲しつつもそれでいて独自のスタイリッシュな映像で、新しい恐怖を観客に与えることに成功している。そして見どころはなんといっても、走って追いかけてくる機敏な動きのゾンビたちである。この記念すべき新世紀ゾンビ映画で血まみれになってくれたニュースクリームクイーンは、主演作『死ぬまでにしたい10のこと』で高く評価され一躍若手演技派女優として多くの観客に印象づけたサラ・ポーリー。プライベートでも一度日本を訪れたことがあるという彼女が作品のPRのため先ほど来日し新宿パークハイアットホテルにて会見をおこなった。
 いかにもなハリウッド大作映画への出演を避け、これまでにインディペンデント映画に多く出演してきたポーリーは、様々な政治的活動もしてきたという程の活動的かつ自覚的な珍しいタイプの女優である。登場した彼女の衣装もドレスアップしたものではなく、シックなスーツ姿であった。会見では、自分の意見をはっきりと持ち、なおかつそれを実行することのできる勇気ある彼女ならではの話も飛び出すものとなった。そんな硬派な反面、記者からの「撮影中、お肉は嫌いになりませんでした?」という質問には「もりもり食べましたよ!」と笑ってみせるおちゃめな面もみせてくれた。(綿野)

Q:ホラーは好きですか?
サラ:ゾンビは大好きで、ゾンビ映画も大好きです。ただ、ホラー映画に詳しいということはありません。ロメロ監督のオリジナル作品はとても好きだったので、今回出演できてうれしく思います。

Q:オリジナル版を観た感想と今作との違いについて教えてください。
サラ:同じ年に生まれたので運命のようなものは感じますね。オリジナルは大好きですが、今作もただ単純に気軽にリメイクしたという訳でなく、個別の映画として、しっかりしたものだと思います。あの時代はあの時代しかできないことを、今の時代では今の時代でしかできないことをしていると思います。例えば、今の人々は気が短い人が多いと思いますが、今回のスピーディーなゾンビはそれを表していたりすると思います。

Q:今までの出演を避けていた今回のようなビッグバジェットの映画に出演を決めた理由は?
サラ:このようなスケールの大きい作品に出演したことはないので大きな飛躍にはなると思いますが、出演を決めた理由は、いつもと一緒で、スタッフが信頼でき、考えがしっかりしていたということです。たまには敵状視察(ハリウッド)でのぞいてみるのも悪くないとも思いました。誤解されたくないのは、ハリウッドだからイコール“クレイジー”だと思ってるわけではないということ。私は、インディーズ映画の方がキャラクターをしっかり描くことができると思います。ただ、今回のような映画はハリウッドの方がしっかり作れると思います。

Q:お気に入りのシーンとその理由
サラ:ひとつあげるとすれば、ヴィング・レイムスとミキー・ファイファーが会話をするシーンです。こういう映画では、あまりないしっかりとしたシーンです。ショッキング・シーンということであれば、ゾンビの子が生まれるシーンです。

Q:大変だったシーンとがんばったと思うシーン
サラ:ゾンビの目をひっかき回すシーンはすごく嫌でリアルでした。何度も撮らせないでと頼みました。

Q:日本で行きたいところは?
サラ:一番行きたいところは築地で、昨日の朝五時に行きました。あとは、京都にも行きたいです。

Q:この作品に参加して、寝ている時にうなされたりしませんでしたか?
サラ:うなされたりということはありませんでした。ただ演じる時、その感情というのは、これまでの経験から引き出すものですが、“恐怖”を演じるということは感情を忘れるということだと思いますので、他の感情を演技するよりもはるかに大変でした。

Q:サラさんの恐いものは?
サラ:ジョージ・A・ブッシュです。私は政治的なことに関しては常に関心を持っていますし、実際に行動もしています。

☆5月15日(土)より日比谷映画ほか全国ロードショー!!

□作品紹介
ドーン・オブ・ザ・デッド