神々や人間、ミュータント、エイリアンがひしめき狂気と化した近未来のニューヨークを舞台に、青い髪青い涙を流す美女・ジルと反体制運動家ニコポル、神に選ばれたこの二人の男女の愛が混沌とした世界に希望を再生させるという不滅の愛の神話『ゴッド・ディーバ』。フランスのグラフィック・アートの巨匠エンキ・ビラルが描く壮大な世界観は『ブレードランナー』や『フィフス・エレメント』の原点であり、この独特な未来世界のビジュアルは『AKIRA』の大友克洋や『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟にも多くの影響を与えてきた。ビラルの監督3本目となるこの『ゴッド・ディーバ』は人間の男ニコポルを主人公とした三部作の中から、SF作家セルジュ・レーマンとともにオリジナル・ストーリーとして新たに映画用に再構築したものである。本国フランスでは公開されパリの興行成績1位を獲得している。

 会見には、エンキ・ビラル監督、主演リンダ・アルディが登場した。「本をつくるのは自分と想像世界との戦い。デッサン力にすべてがかかっているんだけど反面100%自由な世界での仕事なんだ。ユーゴスラビアで過ごしていた5、6歳のころから両親に映画に連れて行ってもらっていた。そしてその映画の絵を書いたりして遊んでいたんだ。でもそのうちその絵にストーリーが欲しくなって自分でつくってみた。その後フランスに渡って大人になったら自分の中で自然な形で絵の中にストーリーをつけることができるようになったんだ。」とバンドデシネの巨匠としての彼の原点が映画にあることを明かした。「初監督した『バンカー・パレス・ホテル』で初めてその絵と映画への興味を合体させることができたんだ。(一人でつくる本は孤独な作業だけど)映画も孤独で、スタッフはそれぞれの役割の中で自分自身の創造世界と戦っているんだと思う。でもその孤独を分かち合える仕事なんだ。」と語った。
元ミスフランスでモデルをしていたリンダ・アルディは監督の色のついていない女優を起用したいという意向で映画初主演ながら大抜擢されている。原作について彼女はこう語った。「コミックで面白いと思ったのは、いろんな要素が混ざり合っていること。未来世界だけどピラミッドなど過去の歴史的なものも登場するし。完成した映画は、詩的で夢のような美的世界で感動しました。登場人物たちそれぞれのヴィジョン(視点)がいくつも重なって層になっているようでした。」と自分の映画に自信をもって答えた。青い髪・青い涙を流す美女ジルのヴィジュアルには撮影のたび2時間かけて全身メイクをしたという。「そういった長い時間かけてメイクをしていくことで自分がジルというキャラクターに入っていった。ヘアメイクを自由にするため頭の毛は全部そりました。」と気合のはいった女優魂を披露してくれた。

☆『ゴッド・ディーバ』は5/1(土)より丸の内プラゼール他にてGW公開!

□作品紹介
ゴッド・ディーバ