映像関連産業の発展の拠点としてオープンし、埼玉県が中心となって独自の活動を続ける総合映像施設SKIPシティ。ここSKIPシティにおいて本格的な国際映画祭、<SKIPシティ国際Dシネマフェスティバル>が開催され、多少の交通の不便さもなんのその、日本はもちろんのこと世界各国から非常に多彩な才能が集結し、9日間で約5000人の集客を埼玉・川口市に呼び込んだ。東京近郊のベッドタウン川口に突如として出現した濃い映画の祭典は28日にそのフィナーレとなる授賞式を迎え、今映画祭の初回を飾るにふさわしいアメリカ・ヨーロッパ・アジアをまたぐ国際色豊かなクリエイターたちがずらり並ぶ結果となった。

 約600本というエントリー作品の中から選ばれたノミネート作品は長編7本、短編11本。地元川口市の市民・企業による寄付により設立された日本の映画監督への特別賞、‘川口市民賞’は『人形芸人 Dont&Not』の船引亜樹監督に。今作が自身の本格的デビュー作であった船引監督は「明日から40作品目を撮るところ。これからも皆に、世界にみせる作品を作っていきたい」と喜びをあらわにした。

 また、長編映画部門最優秀作品賞には、『幸せになるイタリア語講座』が好評のデンマークの新鋭女性監督ロネ・シェルフィグの『ウィルバー・ウォンツ・トゥ・キル・ヒム・セルフ』が選ばれた。残念ながら監督自身は会場に来られなかったが「日本という遠い国から選んでいただけたことを非常に光栄に思う」との喜びのメッセージが届けられた。映画の現場において新たな可能性をもたらす「D(デジタル)」をテーマにした今映画祭は今年が第1回目。埼玉を拠点に次世代の映像クリエイターを創出することを狙いとしているが、その波紋はどれだけのものか、今後の動きに注目したい。

他、コンペティション作品の各賞は以下のとおりである。

<長編映画部門>
★「ソニーDシネマアワード」最優秀作品賞
  『ウィルバー・ウォンツ・トゥ・キル・ヒムセルフ』
  監督:ロネ・シェルフィグ(デンマーク)
★「ソニーDシネマアワード」作品賞
  『エディ』
  監督:ピョートル・トーシャスカルスキ(ポーランド)
★「ソニーDシネマアワード」新人監督賞
  『ソルト』
  監督:ブラッドリー・ラスト・グレイ

<短編映画部門>
★「ソニーDシネマアワード」最優秀作品賞
  『クラスメイト』
  監督:ビョルン・カールストロム、ステファン・トウンベリィ(スウェーデン)
★「ソニーDシネマアワード」作品賞
  『カワードリー・ビシャス』
  監督:リー・クワン(韓国)
  『エターナル・ゲイズ』
  監督:サム・チェン(アメリカ)

<特別上映(川口市民賞)部門>
★川口市民賞
  『人形芸人 Dont&Not』
  監督:船引亜樹(日本)
★奨励賞
  『犬と歩けば〜チロリとタムラ〜』
  監督:篠崎誠(日本)
  『美女缶』
  監督:筧昌也(日本)

□SKIPシティ国際Dシネマフェスティバル
http://www.skipcity-dcf.jp/