80年代後半から90年代前半にかけて絶頂期を迎えたニューヨーククラブシーンで、その頂点に立った伝説のクラブ・キッズ“マイケル・アリグ”のファビュラスでデンジャラス日々を描いた『パーティ★モンスター』が、今春ロードショー公開される。マイケル・アリグに扮するのは、『ホームアローン』等で名子役として人気を馳せながらもそのご引退し、本作が8年ぶりの復帰作となったマコーレ・カルキン。マイケルの親友にしてライバルであり、本作の原作となった『ディスコ殺人事件』を書上げたジェイムズ・セント・ジョーンズには、『オースティンパワーズ』シリーズのスコット・イーブル等で知られる若手演技派セス・グリーン。その他、クロエ・セヴィーニ、マリリン・マンソン、ナターシャ・リオン、ディラン・マクダーモットら個性派俳優陣も、虚飾に満ちたナイト・ライフにリアリティを与えて魅力的だ。
 2月18日、本作の主役を務めたマコーレ、セスを筆頭に、監督のフェントン・ベイリー、ランディ・バルバート、そして原作者のジェイムズ・セント・ジェイムズが来日を果たし、新宿パークハイアットにて来日記者会見が開催された。
 今回、“伝説のクラブ★キッズ”を演じているマコーレ・カルキンは「監督のお二人が、彼らが以前撮った同じ題材のドキュメンタリーと本作の脚本・原作を送ってくれたんだ。そのユニークさといったら、とても真実とは思えないほどで、絶対この世界の一部になりたいと思ったんだ。セス、クロエをはじめキャストも素晴らしくて、本当にラッキーだったよ」と、復帰作として本作を選べたことの喜びと、本作で復帰するまでの心境を静かに、力強く語った。「芸能生活は14歳で一度引退したんだ。最初は演じることが楽しくてしょうがなかったんだけど、自分じゃなくて周りが色々なことを決めていくようになってきたんで。その時は、二度と芸能活動に戻ることはないと思ったんだけど、高校に入って自分がやりたいことが何なのかを考えた時に、やはり俳優であると気ずいたんだ。そんな時に、丁度本作のオファーがあってね」
 「衣装は彼らの文化で大きな部分を占めているんだ。つまり、彼らが自分自身のクリエイティヴな部分を表現するための道具だね。正直、着心地はよくなかったけれど、衣装をつけると自分では無くなれるんだよ」。マコーレと共に、次々と奇抜なファッションを身に纏った感想について語ったセス・グリーン。実在の人物を演じるに当っては、「兎に角、忠実に描きたいと思ったんだ。撮影されたのは、実際の出来事から10年くらい経っていたけど、当時のビデオがたくさん残っていたし、撮影の直前にはジェイムズ・セント・ジェイムズ本人に会えたので、彼にとって何が重要だったか、どう演技をしたらいいかを聞いたんだ」
 それでは、具体的なアドバイスはどのようなものだったのか。原作者のジェイムズ・セント・ジェイムズは、「これが僕にとっての“エリン・ブロコヴィッチ”になるんだから、邪魔しないでくれよってね(笑)」と、笑いをとった後で語った。「一番大事なのは、ルックスだとね。ドレス・アップは兎に角エネルギッシュな行為なんだよ。だから、カリカチュアとしては描かないでくれと。突拍子の無い格好をしていても、内には威厳があるんだってね」
 二人の監督、フェントン・ベイリーとランディ・バルバートは、マコーレとセスが主役を演じてくれなければ本作はできなかったと、充実のキャスト陣への賛辞を惜しまない。そして本作の意義について、こう語った。「80年代から90年代というこの時期は、勿論実際に事件が起きた時期でもあるわけだけど、それ以上に文化的に重要な時期だったんだ。MTVが出現し、メディアの爆発が起きたこの頃は、芸術とポップ・カルチャーの境が崩れて一つになって行った時期なんだ。これまで、観る側だけにいた者を含め、全ての人にチャンスが与えられるようになった。そこに現れたのがクラブキッズであり、クリエイティヴに面白いキャラクターを作っていったんだね。言わば、ニューヨークがクリエイティヴな時代だったんだね。正直、本作のプロジェクトを立ち上げるまでは、本当に大変だったよ。ハリウッド映画らしからぬ作品故に、誰も興味を持ってくれなくてね。でも、作り始めたら、本当に楽しい経験だったんだ」

 なお、『パーティ★モンスター』は2004年春休みシネマライズ他にてロードショー!

(宮田晴夫)

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パーティ★モンスター
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