時代劇と妖怪に深い造詣と愛情を持つ監督であり、特殊メイクアーティストとしても知られる原口智生監督による新作妖怪時代劇『跋扈妖怪伝 牙吉』が、いよいよ2月7日より待望の劇場公開が始まる。デジタル映像全盛の現在に、敢えてデジタル処理や合成は一切使用しないことにより、生身の剣戟とアクション、そして闇に拘ったダークな映像で魅せる娯楽活劇の意欲作だ。
 ロードショー公開まで2週間を切った1月26日、新宿のロフトプラスワンでは本作の公開直前記念トークライブが開催された。当日は、原口智生監督を筆頭に、安藤希、中山夢歩、稲葉美優(現在は改名し木村深華)というキャスト陣、企画ブレーンの近藤ゆたか氏、『新耳袋』の著者でやはり妖怪や時代劇には一家言持つ木原浩勝氏と豪華ゲスト陣が登場しし、会場に多数詰め掛けたファンの熱気の中で、『跋扈妖怪伝 牙吉』秘話や時代劇への思い入れなど、ディープで熱烈なトークを行った。
 原口監督にとって本作は、『さくや 妖怪伝』に続く妖怪時代劇。子供向け特撮映画としての色合いが強かった『さくや〜』に比すると、本作はよりダークで大人向けの作りになっている。「『さくや〜』の時に出来なかったことを、今回はやってみようと思いがあって、原田龍二(牙吉役)ありきのチャンバラ映画をと。照明等にも拘り大人向けを意識した This is 時代劇という作品。そういうこちらの思いを、スタッフがきっちり汲みとってくれました。」と、作品への手応えを語った原口監督。妖怪の親分・鬼蔵のニシキヘビ革の陣羽織は、演じた清水健太郎からのたっての希望で取り入れたものであるとか、妖怪白粉婆を演じた山村嵯都子は大映製作の妖怪映画の古典『妖怪百物語』でも同じ役を演じた女優さんであること、そして山路要之助の着物の家紋は『魔界転生』と同じものだとかの、作品をよりディープに楽しむにはもってこいの、拘りポイントも続々披露された。
 『さくや〜』の凛とした妖怪討伐士から、本作では人間に捨てられ鬼蔵と暮らす娘桔梗を、憂いをこめて演じている安藤希は、ゲスト出演した『水戸黄門』の撮影に関するエピソードなどを交えつつ、「妖怪は見てるだけでも楽しい。私も大好きな作品で、原田さんもかっこいいので是非見てください」とコメント。劇中とはうってかわっての天然不思議ちゃんぶりを振りまいていた。
 妖怪より断然非道な山路要之助を演じた中山夢歩は、本作が初の映画出演。こってりとした鬼蔵役の清水健太郎との共演を、作中のトーンが一緒にならないように「命令ばかりする役なので、たんたんと演じるように我慢しました」とのこと。
 稲葉美優は、賭場にやって来たならず者を喰う妖怪女郎蜘蛛を演じている。「妙な気分でしたけど、また演ってみたいですね。動きづらくはありましたけど、快感でした。」と妖怪役の感想を語った。また、妖怪白うねりの化身小次郎を演じた子役(撮影当時5歳)の西田和輝君も大阪から駆けつけ、クライマックスで体をはって彼を助けた稲葉の膝に座りご機嫌な様子だった。
 多岐に渡ったトークの後は、レアグッズ大放出のプレゼント大会が、さらに会場をヒートさせる。原口監督自身が集めた懐かしのレア妖怪グッズから、稲葉が実際に撮影で使用した女郎蜘蛛の手や牙吉の牙などまで、まさにここだけのファン垂涎のレアグッズがが続々登場し、激しい争奪戦が展開された。なお、ロードショー公開中にも、プレゼント大会やトークショーなどのイベントを現在企画中とのこと。気になる方は、公式ホームページでの告知を要チェックだ。
 なお、『跋扈妖怪伝 牙吉』は2004年2月7日より渋谷シネパレスにてレイトロードショー!チャンバラ・アクションと拘りの映像の数々を、是非劇場で堪能して欲しい。
(宮田晴夫)

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