和製フォーク・ソングの名曲として、世代を超えて愛され続けているさだまさしの「精霊流し」をモチーフにした、さだ自身の自伝的な同名ベストセラー小説が、さだの故郷で小説の舞台でもある長崎でロケを敢行した映画版『精霊流し』として遂に完成した。9月13日より先行公開中のご当地・長崎では、既に5万人を超える観客が劇場でその感動と出会っている。その感動の輪を全国に広げるロードショー公開に先駆け、11月25日テアトル タイムズスクエアにて、本作のプレミア試写会が開催され、原作のさだまさし、さだの分身ともいえる主人公を演じた内田朝陽、朝陽の母を演じた高島礼子、そして田中光敏監督が舞台挨拶を行った。

田中光敏(監督)——素晴らしい俳優陣とスタッフ、長崎市民の方々に沢山御世話になりました。そして『精霊流し』をやっと皆さんに御披露目できる日がきました。一生懸命作った映画ですので、ごゆっくりご覧ください。

内田朝陽(櫻井雅彦役)——長崎の皆さんや、長崎の土地に支えられて、長崎でしか撮れないさださんの世界が映画に入ったんじゃないかなと思います。この作品を通して、監督をはじめキャスト・スタッフの皆さんにいろいろなことを教えられました。映画のテーマにも沿ったようなことをすごく学んだんですが、映画にもきっと入っているそんなメッセージが伝わったら嬉しく思います。誰もが心に持っているものを思い出させてくれる映画です。

高島礼子(櫻井喜代子役)——私はこの映画を通じて得た財産として、まず念願の田中監督と一緒に仕事ができたこと、それから内田君と出会えたことなんです。主役って現場では眠る時間がなくなるくらい時間をとられて大変なんですが、彼は自分の出番が無いときでも現場に来て、スタッフとか出演者とコミュニケーションをとっているんです。最近では珍しい俳優さんだなって本当に感動して、出会えてよかったなって思います。私は出演シーンが少ないこともあって、この映画をとても客観的に見る事ができたと思うのですが、本当にいい映画だなと思いました。もう一度人を信じてみたいとか、人を愛してみたい、愛さたいなとか、何よりも離れて暮らしている親に映画がしたくなりました。本当にそういう優しい映画です。絶対楽しんでいただけると思います。

さだまさし(主題歌・原作)——自分でヘタクソだけどはじめて書かせていただいた小説が、こうして素晴らしい映画になっていくでしょ。責任感じちゃいますね。原作者と言っても、自分が書いたものがそのまま再現されるのが希望なのではなくて、自分の投げたものを、それからプロがどんな風に遊び、どんな風に違う世界を広げてくれるのかという、その輪が楽しみな部分があるんです。非常に楽しませていただきました。素晴らしい映画だと思います。原作から離れて、心を無にして見てくださると、何かがきっと伝わるんじゃないかと思います。

 なお、『精霊流し』は2003年12月13日よりテアトル タイムズスクエアほかにて全国ロードショー!
(宮田晴夫)

□作品紹介
精霊流し