今年のベネチア国際映画祭のコンペ部門にも出品されているアモス・ギタイ監督の最新作『アリラ』。
長まわしでの撮影を取り入れた事に関しては「今回映画を1つ時間の要素を連続した時間軸の中で物語を構成したかった為、公の空間で起こっている事件などが常に私生活の中に入り込んでいくという形を表現したかったため、屋外から室内への空間移動を表現に1ショットで撮影することにしました。自分の中では映画は1本、1本スタイルを変えていかなければならないと思っていますので、今後も撮影手法は変わっていくと思います。」
兵役を拒否する青年のエピソードに関してはイスラエルという国の中では、かなり冒険的な演出ではないかとという問いには「原作には無い部分で、原作では親が兵役を拒否した息子を軍隊に連れてきて引き渡すシーンで終わっているのですが、監督は個人が社会に対して反逆するという行為はあっていいと感じており、そういう行為がたとえば自分が社会に対して納得できない部分ならそれでいいと思います。それが社会に対して活力のきっかけになればいいと感じています。」
イスラエルの巨匠ギタイがテルアヴィヴのアパートを舞台に、様々な庶民の人達の生活を生き生きと描写した最新作。実業家の愛人、隣に住む警官、中国系の出稼ぎ労働者、爆弾テロなどが日常で起きる場所でそれぞれの家族、家庭問題をコミカルに描く様が面白い。
(Yasuhiro Togawa)

□東京フィルメックス2004
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