今年の東京フィルメックス2004で若手監督の作品『地球を守れ!』のチャン・ジュヌァン監督と『鏡の中へ』のキム・ソンホ監督は、同じ1970年生まれの33歳。初監督作品となった『鏡の中へ』は、釜山映画祭の中で開催される釜山プロモーションプランという映画関係者向けの企画の中から脚本が選ばれた作品で、第3回の同映画祭からスタート、過去にはジャ・ジャンクー監督の「プラットホーム」、篠崎誠監督の「忘れられない人々」などは1〜2回目のPPPで支援作に選ばれた作品である。
物語は、1年前のデパート火災事件後のリニューアルオープンを目指すデパートで再び奇怪な連続殺人事件が発生する。化粧室で首を切って自殺した女性、耳にボールペンを指してエレベーターの中で死んだ男性など自殺とは思えない奇怪な謎を残したまま、スクリーンには多数の鏡の中で起こる事件が話題を呼び、今年の夏の韓国映画にニューウェーブを起こしている。そんな監督デビュー作となったチャン・ジュヌァン監督は、鏡を使っての撮影は、カメラやスタッフが鏡に写らないように撮影するため、とても苦労したそうです。特にプリプロダクションの段階から撮影手法などを研究し、カメラ位置、俳優の動線など幾度となく勉強したそうです。
特にデパートの中の撮影に関しては殺人事件の舞台になっているため、苦労があったようです。監督は「ソウルの主要なデパートからは、撮影許可が頂けなく断られてしまいました、そこで地方の大田(テジョン)市のギャラリア百貨店と天安(チョナン)市の同じくギャラリア百貨店で撮影許可がいただけたので、デパートの休日や深夜を使って撮影しました。」と殺人事件を舞台したデパートですからかなり慎重に撮影されたようです。
また、新人監督とは思えないキャスティングにも観客は注目しており、主人公のユ・ジテ演じる保安室長に辛く当たるデパート社長役のキ・ジュボン氏が偶然にも『地球を守れ!』では刑事たちの上司・イ班長役も演じており類似したキャラクターに笑いを取っていました。刑事や検事、社長など若手俳優の上司などには、数多く出演しているため、よく見かける俳優になっているのでは?

日本での公開は決まっていないが、是非一般公開して欲しいものです。
(Yasuhiro Togawa)

□東京フィルメックス2004
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